アカネイア&覚醒&if短編

□平和な日々
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「あーああー、筋肉痛!」
「まだまだ訓練が足りぬからだな!」
「もうあんたと訓練するのやめようかしら」

天気の良い今日この日。
朝日を浴びて大きくのびをする。
たいして隣にいる同期はため息。

「そう言っていつも付き合ってくれるだろ?」
「だってアベルに迷惑かかるもの」
「…?」

本当に分からないといった風に首をかしげる同期にため息をつく。
まぁ、分からなくてもしょうがない。
なんせ彼はカインだから。
恋愛ごとにとんと鈍い男なのだから。
むしろ今ので分かってくれたなら私の方が驚いてしまう。

「だってせっかくの非番なのよ?たまにはエストと二人きりで過ごしてほしいじゃない」

言ってやると、カインは「なるほど!」と言いたげに笑った。
そしてその屈託のない笑顔でとんでもない爆弾を落としていった。

「ならお前に恋人がいなくてよかった!じゃないと今頃俺はアベルに迷惑かけてたからな!」
「ッバカ!」

あまりに呆れてそう言うほかなく、腹を小突くとカインは無邪気に笑う。
本当にこの同期には困る。
だけどいざとなればしっかりしているし、いつもまじめなこの同期に、私は恋心を抱いている。
まぁ、コイツはいつになってもそれに気が付かないのだけど…。
気が付いたらそれはさっきのアベルとエストのこと以上に驚きだ。
それはもう、マルス様がシーダ様をフるくらい、あり得ない。

「てか本当にどうすんのよ。このままじゃ一生独り身じゃない!」
「大丈夫だ!マルス様が縁談を持ちかけてくださるだろう」
「あんたねー、そんなんでいいわけ?」
「よくはないが…」

カインは頭をかきながら困ったように言葉を濁らせた。
さすがのカインも見ず知らずの女性と結婚するのは困るみたいだ。
ちょっと安心。

「まぁ、でもいざとなれば――」

まだ言うか、とカインの方に顔を向ければ、相変わらず笑顔の彼と目があった。

「お前がいるだろ?」

…今のは爆弾を落とすだけでは済まない。
トロンが頭上からたくさん落とされた気分。

「なんならお前と結婚するのが一番楽かもな。ああ、そうしよう!名案じゃないか!」
「――っあんたって奴は…!」
「…?」
「いっぺん死んどけー!」
「!?」
「あああ、あと!あんた絶対恋人作らないでよね!作ったりしたら殺すからー!」
「善処する……?」
「あんた私の言った意味わかってないでしょ」
「ああ、分からん!だが、つまりは」
「う、うん?」
「未来の奥さんはお前ってことか!毎日稽古付けだな!」
「はい死ねー!」


今日も、カインの脳内は平和です。




後書き
天然カイン殿大好きです。
私の中でのカイン殿は二人いまして、ひとりは今回のように超天然で気持ちに気が付いたら率直に!、もう一人は気持に気づいてもなかなか言い出せないちょっとヘタレです。
でもどっちにしろ彼はまっすぐで努力かな男です。
私の初ストライクを奪っていった、そんな彼にこれからも御武運を…(笑

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