テリウス短編

□運命の赤い糸
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*ツイッターのコピペネタ見てかいたよ!←


人生で初めてナンパに乗った。
いや、もともとあんまりナンパとかされないんだけどね。私ってそんなにかわいくないから。ナンパされるときって、これくらいの不細工なら断らないだろうって自信満々のキモ男が声かけてくることばかりで本当に腹立つ。
でも、今回は違ったんだよね。

「そこのお姉さん、俺で妥協しませんか」

びびった。俺で妥協しませんか?って。
しかも見ればまぁ、美男子って感じではないけれど人のよさそうな笑みを浮かべていて、体格からしても軍隊か何かの人かなってすぐに分かった。
最近仕事がうまく行かなかった私は、誰でもいいから一緒にいてほしかったのかもしれない。

「……やっぱ。無理っすかね」

苦笑いするその人に、こう言っていた。

「…いえ、あなたも私で妥協してくれるなら、お茶くらい良いですよ」

そういえば、その人はパァっと顔を輝かせ後ろに声をかける。

「シノンさん!俺ついにやったっす!運命っすよこれは!」
「おまえなぁ、なんつぅナンパしてんだ」

後ろにいた男の人はまさに美男子って感じだった。
その人は私をチラリと見て、ちょっと馬鹿にしたように笑った。

「失礼な人ですね。美男子でも許せませんよ」
「悪かったな。まぁ、うまくやれよ」
「えぇえ!シノンさん行っちゃうんすか!」
「馬鹿かおめぇは!」
「だって滅多にナンパにのってくれる人いないんすよ!? 俺どうすればいいんすか!」
「あー、あれだ。そこに喫茶店あったろ。そこでいいだろ」
「さすがシノンさん、モテる男はちがうっすね!」
「……はぁ。じゃあ、あとでな」
「っす!……そういうわけで、それでいいっすか?」
「あ、はい」

なんだか不思議な気持ちだ。
名前も知らない男の人と歩くのって。
でもぜんぜんいやな気持ちにはならなくて(時々鎧姿の人達が驚いたように私を見るけれど)。

「あ、そうだ!名前なんて言うんすか!」
「レティです」
「レティちゃんすか…はぁ、めっちゃかわいい名前っすね…俺はガトリーって言います。よろしくっす!」
「よ、よろしく!」

ガトリーさんは、見た目どおり楽しい人だった。
喫茶店に入ってからも、色々話して、また私の話も聞いてくれた。
仕事がうまく行かない話。上司が嫌なやつで、後輩も言うこと聞いてくれなくて、自分が情けなくて。
今日会ったばかりだからこそ話してしまおうって気持ちになって、友達に相談できなかったことも、話した。
初対面だし、ナンパしてくる人が望むような会話内容ではないのに、ガトリーさんは真剣に聞いてくれた。

「俺、レティちゃんなら自分で状況打開出来ると思うっす!」
「え?」
「だって初対面の俺をこんなに楽しい気持ちにさせてくれるんだから、大丈夫っすよ!」

こんな話のどこが楽しいの分からないし、所詮ナンパ野朗の妄言だろう。
それでも、そんな風に元気つけてくれることはうれしかった。

「――あ、やっべぇ! そろそろ昼休みおわっちまう」
「もうそんな時間? ごめんね。
せっかくのナンパだったのにシリアスにしちゃって」
「いや全然いいっすよ! 今度またお茶したいっす」

だから、そんな風にやさしくしてくれたこの人が悪い人にはやっぱり思えなかったから。

「今度私に会うときまで、もうほかの人にナンパしないって言ってくれたら住所教えてあげる」
「ホントっすか!いいっすよ、俺は今日運命の赤い糸みつけたんで、もう出会いは必要なないっす!」
「どこまで信じるべきか不明なんだけど、じゃあ――はい、文送ってね」

お店のメモ帳を一枚もらって住所を書く。
彼はそれと引き換えにお茶の代金をテーブルに置いた。

「送れなくてスンマセン。
じゃ、近いうちに会いましょう!」

ガトリーさんは、嵐のように消えていった。
だけど嵐の後にしては、暖かいものが胸に灯ったような気がして、つい、口もとが笑みを浮かべた。


  運命の赤い糸


あとがき
ガトリーさん初見結構好きで、なんとなく壁にして後ろにシノンさん立たせてたらグングンレベル上がっていって最終スタメンになりました。
ガトリーさんは戦績第三位で、たぶん出撃回数も一番多いはずです。
シノンさんとの会話しか見てないので後輩口調しかわからないけど、そこがかわいいっす。

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