アカネイアall

□ミシェイル
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マケドニア北部の飛竜の谷。
私たちアリティア軍は、今この瞬間この恐ろしい谷を進軍している。
もちろん民家もあるし、人里離れているというわけではないのだが、ただのシスターの私からすればたとえ後方支援だとしても山の部族や竜は、ある意味正規軍より野蛮で恐ろしく見えるのだ。
次々負傷者が運ばれ、杖で回復の術を施していく。
そのとき、突然マルス様の声が聞こえた。

「誰か!シスターは!」

何事かと思い、私はすぐに駆け出す。
あせった表情のマルス様と、その隣には弱ったドラゴンによりかかる赤髪の男が居た。
彼もまた、虫の息で私は息を呑んだ。

「マルスさま!」
「君は、クリス! よかった。この人をお願いできるかい?」

彼は、気を失っていた。
ひどい傷だ。
魔法でやられたみたい。
私は急いで近くの民家に行って、ベッドを貸してもらえるよう頼んだ。
こんなところで天幕を張るわけにもいかないから。
私はほかのシスターたちに手伝ってもらいながらなんとか彼をベッドに横たえた。

「あなたは外のドラゴンをお願いできますか。きっと彼の大切な相棒です」

手伝ってくれた年下のシスターにそう頼み、民家に住んでいた心優しいおばあさんから氷水と布を貸していただいた。

「いいですか、開きます」

意識は
ないだろうが、そう呼びかけ襟に手をかける。鍛え上げられた体には、痛々しい傷が刻まれている。
これは、助からないかもしれない。けれどやらないと。
まずは杖で傷をふさぐ。傷などいくらでもふさがるのだ。
問題は失われた血液は戻ってこないこと。彼は相変わらず青白い顔だ。
私はぬらした布でそっと顔をぬぐった。
きれいな顔立ちだ。
それにミネルバ様にそっくりの赤い髪。
この人が誰なのか知らないけれど、マルス様があんなにも必死にお願いされたのだから、必ず救わなくては。
もう一度すすをぬぐうように顔を拭く。

――と、次の瞬間がっと腕をつかまれて、私は思わず悲鳴を上げた。
おくから民家のおばあさんが驚いたように出てくる。
いま私の腕をつかめるのは、彼以外に居ないはずだ。そっと、視線をずらす。
彼はじっと私を見ていた。

「お…お目覚めになられたのですね。
ご安心ください、ここは民家で、私はマルス様の令であなたをお救いするためここにいるのです」
「俺を救う…だと…? 
なんのつもりなのだ、マルス王子…」

私の腕を放し、ぐったりと力を抜いた彼は、憎むというよりも心底意味がわからない問いいたげな声でそういった。

「お名前を伺ってもよろしいですか」
「…ミシェイルだ」
「ミシェイル様ですね、わかりまし…た…!?」

ミシェイル?
ミシェイルってあの…ミネルバ様の兄に当たる人…!?
たしかに、髪色はそっくりだし、改めてみれば目つきも似ているかもしれない…。

「俺が誰だか知らずに手当てしていたのか」
「はい…まぁ、でもあなたがミシェイル王子であることはたいした問題ではございません」
「なに…?」
「今は、私の受け持つ患者の一人ですから」
「!」
「では、楽にしてください。今から気力を送り込んで、あなたの体を元気にします。そうすれば動ける容易なるでしょう」
「お前の体に負担がかかるのではないのか」
「心配してくださるんですか」
冷酷な方と伺っていたけれど、あんまりそうは見えなくて。
「さぁ、あなたのために祈らせてください」


 生の祈り


あああああごめんなさいぜんぜん夢じゃねぇえぇええ!実はあんまりミシェイルさんのキャラつかめてないんだよねぇ…←

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