アカネイアall

□シーザ
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いつもあなたの帰りを待っているの。
時々大金を持って帰ってくるあなたを。
言い方悪いわね。
お金がほしいわけじゃなくて、つまりいっぱい稼ぐまであなたがかえってこないって話。
弟のラディがシーザについていくなら、姉の私はシーザの妹を守ろうと。

私はいつも、故郷にてあなたの妹を看病して、待つだけ。
日中働きに出るけれど、傭兵稼業で命を懸けるあなたと比べるとバカバカしくなっちゃって。ねぇ、はやく会いたいわシーザ。

「クリス、兄さんから手紙だわ!アリティアの軍にやとわれたんですって!」
「アリティア…?じゃあ、シーザは暗黒戦争に出るのね」
「すごいわ兄さん!」

シーザ。知ってるわ。
きっとアリティアの王子をあなたは気に入って、そして報酬も弾むからよね?
あなたはワーレンを気に入っていたから、その思いは強いのでしょう。
私の心配は増すばかり。

「それで、近くを通るからそのうちお金を置きによるんだって!」
「え!」

でも、会えるなら。
やっぱりうれしくて。

数日後、手紙通りにシーザは現れた。
あまりにうれしくて、兄妹の抱き合う姿を眺めていると、シーザは妹の体を少し気遣った後で机の上に大金を置いて、「後は頼む」とだけ言っ出ていこうとした。
あんまりじゃない?
こんなに待ってたのに、私にはその一言だけだなんて。
妹もあきれ声で「兄さん…」とつぶやく。
シーザは出ていきかけたけど足を止めて、深くため息をつき髪をかき上げた。

「ああ、引き止めるなよお前たち」
「シーザ!ちゃんとしなきゃダメだぞ!」

家の外からは懐かしき弟の声が聞こえる。
ラディはちらっと顔を見せて、手を振ってよこした。
弟の無事を確認して、とりあえず一息。
あいかわらずシーザは困ったように背を向けるだけだ。

「ねぇ、シーザ」

呼べば、観念したように振り向いた。

「はぁ、悪かったよクリス、会いたかったさ」

手を広げるその胸に、飛び込んだ。

「もう!すっごく会いたかったのに後は頼む、だけで済ませるつもりなの?」
「そんなわけないだろう。
お前とこうしたら、行きたくなくなると思ったんだよ」
「ばーか」
「悪かったって」

まぁ、でも。
理由が理由だから勘弁してあげようと思う。

「ほら、新しい額あてを作ったから持って行って」
「ああ、ありがとう」
「次は――いつ会えるかな」
「わからない。が、必ず戻るよ」

私から腕を話して、ぽんと肩を押す。
私が押してあげないと、ダメな気がしたから。

「シーザ、いってらっしゃい」
「ああ、行ってくる」

今度こそ背を向けて出ていくシーザを、私は見えなくなるまで見つめ続けた。


 遠くで馳せる想い


あとがき
シーザ大好きです
8章で3レべなので大変だったけど頑張って育てたなぁ、アテナと一緒に(笑
ラディまでは育てられなかったけど…なにげシーザかなり好きです
わりと、カイン殿の次くらいには

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