アカネイアall

□ダロス
1ページ/1ページ


さりげなく、いつからかその男は船にいた。名前はたぶんダロス。
だけど、こいつを正式に仲間として迎えた覚えはない。
いつからか、こいつは自然とこの船にいて、人知れず料理の仕込みをしたり、掃除をしていた。
正直、きみがわるい。

「なぁダロス。あんたはいったいいつからこの船にいたんだい?」

きみが悪いので、直接聞いてみたらダロスは掃除の手を止めて、びくりと大げさなくらい肩を揺らした。

「…殺すのか」
「い、いやあんたがいると色々助かるからいいけどよ、あんた、いつからかちゃっかりこの海賊船の船員になってたろ?」
「まぁ、そうだな。不思議なことになじんでいる」

殺されないとわかったからか、ダロスは掃除を再開する。

「そうだ、あんた船長に気に入られてるだろう?おいらの頼みをきいちゃくれねぇか」
「なんだ、言ってみな」
「ああ、一度の食事に使う食材の量を減らしたいんだよ」
「は」

拍子抜けした。

「いつも残りが出て海に捨てるだろう?
これは大罪だ!だから何とかしたい」

残り飯を捨てるのが大罪だなんて…人を殺しては海に投げ捨てる私は、どれほど罪が重くなってしまうのだろうか。

「…分かった。提案しておく」
「ああ!ありがとな」
「んじゃ、こっちからも一ついいか」
「?」

血を好む船長についていって、これ以上ぬぐえない罪を増やすよりは、

「あんたがいつかこの船を降りるときには、ぜひとも同行させてくれよ」

ダロスは意外だ、といいたげに笑った。

「そのほうがおいらも心強いな!
さぁて、次の島はどこだ?」
「…次はタリスだ!それまでに甲板をピカピカにしておけよ!」
「ああ、まかせろ!」

頭の上で、アホウドリがあほーあほーって鳴いている。


 本来の居場所は


あとがき 
支援会話読んだとき笑ったわ。
ダロスって生粋の海賊ではなかったのね笑

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ