アカネイアall

□ジュリアン
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「アニキ!ジュリアンのアニキ!」

ごっそりお宝の入った袋を抱えて、アニキの隠れ家に出向く。
実はここ数日内緒で盗みに入っていたんだ。
なんてったってきょうはアニキの誕生日だから、頑張ったんだ!

「クリス!お前ここ数日どこ行って――げぇ!なんだそのでっかい袋は!」
「聞いてアニキ!リカードに教えてもらったところに盗みに入ったんだ!見てこれ成功しちゃったよ!」

アニキ喜んでくれるかな?
だってこんなにたくさんのお宝、アニキだってなかなかとってこられないもの。
期待を込めてアニキを見上げる。
だけど、アニキは困ったように、それにちょっと怒ったみたいな複雑な顔をしていた。

「おまえなぁ…」
「…足りない?」
「違うって。あーあススまみれで、怪我もしてんじゃねぇか」

よいしょ!どかっと袋をおいて、アニキの指差した頬を触るとなんとなく濡れていて、ピリッと痛んだ。
怪我しちゃったのか。気が付かなかった。

「でも今日はアニキの誕生日だから、なにか特別なことしたくて」
「お前、もし失敗してたらどうする気だったんだ。俺の誕生日は最悪になるところだったぞ」
「う…ごめんなひゃい…」

ううっ…頑張ったのに、アニキに喜んでもらえなかった。
アニキは盛大にため息をつくと、アタシの頭をぐしゃーっとかき乱した。

「わわわっ」
「ありがとな、お前の気持ちはうれしいぜ」
「でもお宝うれしくないんでしょ?」
「いいか?こーいう時はお宝じゃなくて、お前が心をこめて祝ってくれれば俺はそれが一番うれしいんだ。
だから来年は無茶なマネするんじゃないぞ?」
「はぁい」
「よし。じゃあ俺の誕生日だからな、せっかくとってきたんだし、お宝を売って、遊びに出かけようぜ」
「――うん!!」

アタシを元気づけるように、アニキは元気よく言った。
アニキが儲けよりあたしのこと心配してくれて、うれしいな。
だからアタシは、アニキが大好きなんだ!


 お宝より君


あとがき
ジュリアン…こやつもレナさんがいないと語れない男なのでむずかしかったです

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