アカネイアall

□トーマス
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なんど断わたって「開始!」の一言で結局訓練に付き合わされるから、あきれたものだ。
だけど最近は彼のマルス様への忠誠心のためと思って、割と積極的に極力してあげている。
なんの話かって?トーマスの弓の練習よ!
私の頭に林檎を乗せてそれを射抜くの。
さすがにブドウは断ったけれど、やっぱり人形の頭に林檎を置くときより、彼は真剣なまなざしで弓を構える。
まぁ、軌道がおかしければすぐにわかるから避けられるし、おかげで回避率は上がった…と思う(そんな神業できるのはクリスだけだってトーマスに言われた。)

 けど最近は、マルス様や自分の回避率向上以上に、理由がある。
トーマスのまっすぐな視線の先に立っていたら、どうやら彼に惚れてしまったみたいなのだ。
自分を危険な練習に巻き込む男を好いてしまうだなんて、どうかしているかもしれないけれど。

「さぁトーマス!今日のリンゴは少し小さいわよ!心してかかって!」
「よぉおっし!次こそはブドウにできるように頑張ります!」
「いやだから、何が起こってもブドウは嫌よ」
「開始!」

自分から志願したけど、またなんとなく押し切られる形で訓練スタート。
ドキドキしながら頭に林檎を乗せて、柱に寄り掛かるように立つ。
トーマスが弓をひく。
私は打たれた瞬間の軌道を見逃さないように目を凝らす。

――だけどいつまでたっても、矢は飛んでこなかった。

「……トーマス?」
「うぅぅっ…だめです…クリス、やっぱりやめましょう」
「え?」

珍しいわね。集中できないのかしら。

「これからは…クリスに林檎を乗せるのはやめます」
「…いったいどうしたの?」

いままで譲ったことないのに、急にどうしたのかしら。
林檎を下して、彼に近寄る。
彼はどうにも、くるしそうだった。

「好きな女の子に向かって矢を構えるなんて無理です!」
「…え!?」
「今度からはクリスを的にします。
君のハートを射抜くぜ!なんちゃって」

え、え、え、なに!?
どういうこと!?
わけがわからなくて、とにかくもう一度わかりやすく説明してよと頼もうとしたけれど、さえぎられた。

「待って、ちょっ――」
「開始!」

次の瞬間、弓をつがえるしなやかで、たくましい腕に抱きしめられていた。


 君を射抜く


トーマスとマイユニの支援会話すきです笑

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