アカネイアall

□ロシェ
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ロシェへ

元気ですか
こちらは、いつも通りです
あなたもそろそろお忙しい、ようで、最近はなかなか姿をみせなくなりましたね
騎士として立派になったという証でしょう。
私もうれしく感じています。

孤児院の子供たちは、あなたに会いたがっています。
もちろん私もよ。
もしも時間が空いたら、また来てくれるとうれしいです。
あなたが子どもたちと遊んでいる間に、とびきりおいしい紅茶を入れるわ。
この前もらった茶葉でおいしいものがあったの。
みんなに内緒で二杯分残しておいたから、一緒に飲みましょうね?

手紙だからすぐに返事は帰ってこないけど、勝手に約束しておくわ。
約束ですよ?
そうそう、先日――


「なにしてるんですかみんなして!」

ロシェは、赤面した。
悪びれもなく一枚の紙から顔を上げたのはウル
フ、ザガロ、ビラク、そしてハーディン。

「お前への恋文を拝借中」
「ザガロ!」
「あ!待てよ今いいところだったのに」
「ああ、なんて失態だ!これを机の上に出しっぱなしにしておいた僕がバカだったよまったく」

手紙を奪還したロシェだ、真っ赤な顔で嘆いた。
それからひとしきり兄弟たちをののしり、ハーディンには冷たい一瞥をくれてやった。

「みんな最低です…もう…とにかく最低です」
「お前、人罵るのへたくそだな」
「うるさいよビラク! もい、僕は訓練行ってきますから!」

ロシェは言い捨てて、部屋を後にしようとした。
ハーディンがその背中に「お前は今日は非番だ」と意味ありげな笑みを浮かべていった。
なぜ、非番なのだろう。
ロシェはよく分からないまま歩きながら手紙を覗き込んでいた。
何も知らない人から見れば、こぶ身に見えたかもしれないが、これは自分が通っている孤児院では働く女性からの近況報告である。
恋文であったら苦労ないのになぁ、とロシェは考えた。
ウルフほどではないが、恋愛ごとには鈍いロシェである。

しかし非番か。
さっきも言ったように訓練をした後で、みんなにおやつでも持っていこうかな。
さっきは言い過ぎたかも(最低、以外の言葉は出ていなかったのだが)しれなし。ロシェは仲間に少し優しすぎるのだ。

「よぉぉぉおっし!ガンバロー!あ…しかし…」

せっかくの非番なら、孤児院に行くのも良いじゃないか。

「そうか…そうだよなぁ、久々だもの。
よし、そうしよう」

槍を置いて、門を潜り抜けるロシェの上機嫌な様子を、ハーディン一行は穏やかな目で見送った。


 君に会いに行こう



あとがき
ロシェってしっかりものでありながら、やっぱり一番年下としてみんなからからかわれたりもするのかなーという妄想ですよね
これもヒロインでなかったなぁ。
一応ヒロインは愛をこめてお手紙書いてるけど、ロシェはそれに気が付かず、ハーディンたちはなんとか二人をくっつけたいなぁ、末っ子のためになにできねぇかなぁ、と考えている感じで書いてみました。おそらく伝わっていないでしょうけど…

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