アカネイアall

□ウルフ
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ウルフは、基本的になんでもこなす器量の良い男だ。
剣、槍、斧、弓。
ほかにも料理や裁縫も少しおそわればすぐに身に着ける。
器量が良いのも確かだが、努力家でもあり、かつ冷静。
要するに万能人なのだ。

だがそんな彼にも、苦手と言えるようなことがある。
気持ちを伝えることだ。
それも、思いを寄せた異性たいして。

「あの…ウルフ…さん」
「どうした」
「私…何かやらかしてしまったのでしょうか」
「?」
「いえ、先刻より私を睨み続けているので…」

伝えられないならせめて目線で。
しかしそれすらも睨みと勘違いされクリスを怖がらせるばかり。
彼は自分自身に絶望していた。

「いや、すまん。睨んでいたわけではない」
「そ、そうですか。ならよかった…です」

いっそ不器用なら不器用なりに、言ったほうがいいのだろうか。
たとえ飾り気のない言葉でも。

「飾り気のない言葉で重要事項を告げられた場合、お前ならどう反応する」
「え?まぁ、分かりやすくていいと思いますよ」
「そうか」

それなら、よかった。

「好きだ」
「…え」
「…伝わらんか」
「あぅ、あの主語がないと、分からないというか…」

ああ、主語か。
ウルフはすぐに言い直した。

「お前が好きだ」

彼女の顔は真っ赤に染まった。
それは、肯定と取っても良いのだろうか。
そう尋ねれば、彼女は何度もうなずいた。


 率直に


あとがき
ウルフさんって口下手な印象

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