アカネイアall

□フレイ
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「おい!フレイ殿が!フレイ殿が戻ったんだ!」

廊下で聞こえる声を聞いて、誰かがバカな冗談を抜かしているのだと思った。
殴り飛ばそうと思ったけれど、涙腺がゆるんできたので自室にこもっておくことにする。

暗黒戦争を終え、平和を迎えたアリティア。
皆以前のように城下を守る生活を送っている。けれど戦争の傷はまだ癒えない。

フレイ殿。

私の先輩騎士であり、今は無き人だ。
暗黒戦争の前、アリティアがおとされた時、彼はマルス王子を逃がす囮として自ら志願し、そして、帰らぬ人となった。
もう数年前の話だけれど、毎日のようにあの時のことを思い出す。
ドーガ殿に後ろから羽交い絞めにされながら、馬で駆けていくフレイ殿の名を叫んで、なきじゃくった。
あれは騎士失格の行動だっただろうけれど、まだ未熟だったんだ、許してほしい。

フレイ殿が囮に志願した時、彼は私の剣を取り上げて、代わりに自分の剣を私に渡した。
フレイ殿の形見は、この剣と、そして記憶だけ…。

好きだった。
やさしいフレイ殿が大好きだった。

人が困っているれば助けてくれるし、人の嫌がる仕事に進んで取り組む姿が、素敵だった。
だけど今はフレイ殿のそんな性格を、少し恨んでいる。囮になったのも、ほかの者が苦しむくらいならばと思ったのだろうけれど、間違いだ。
だって私は今、こんなに苦しいんだもの。

――不意に扉をノックされて、私は飛び上がった。

考え事にふけっていて、こっちに向かってくる足音にも気づかなかったらしい。

「はい、どなたですか」

驚いて早くなった心臓を抑えるように胸に手を当てて尋ねるけれど、返事がない。
またバカな連中がいたずらか。
だけど、もう一度ノックされる。
さっきのフレイ殿の件も含めて一度ガツンと言ってやろうか。
ため息交じりに立ち上がり、扉を開けた。
なんだか、懐かしくて恋い焦がれた香りがした。

「――……!?」
「君は出迎えに来てくれないのかい?数年見ないうちにずいぶん冷淡になったな」
「そ…そんな…なんの…いたずらですか…誰ですかあなたは…」

人物は、顔をしかめた。

「まさか私を忘れたとはいうまい」
「……フレイ殿…?」
“フレイ殿”は、頷いた。
「ほ、本当に?いえ、違うわ!こんなの夢よ!」

目が覚めたら――また空虚感が心を支配して、きっと、辛くなる。
視界がぼやけた。
夢が終わるのかと思ったけれど、これは自分の涙だ。

「最後に見た君は泣いていたが、今も泣いている」
「だって、夢が覚めた時に辛いから、だから…!」
「夢じゃないさ、これは現実だ」

“フレイ殿”は、私の頬をつねって見せた。
痛い。
でも、夢はさめなかった。

「――実は、奇跡のように生き残ったはいいが、記憶を失ってな。
今朝君の剣を磨いていたら、やっと思い出せたんだ。それですぐに馬に乗ってかけつけた。
マルス様も迎えてくれたのに、君の姿がないのを見て、まさか暗黒戦争で亡くなったのではないかと」
「ご、ごめんなさい…誰かの冗談かと思った…」
「ははは、それで、今あふれてきた涙は喜びの涙ととっても良いのかな」

フレイ殿の親指が涙をぬぐう。
暖かい、生きた人間の温度だ。

「会いたかった――!!」
「ああ!私もだよ」

抱きしめあう私たちに、いつからか部屋の前に集まっていたアリティア騎士たちが拍手と暖かなひやかしを送った。


 あなたとの再会



あとがき
はじめてプレイしたのがこの新・暗黒竜だったんですけど、その時はフレイ殿が新キャラだとはまったく知りませんでした。
だからハード以降はフレイ殿が出ないことに発狂してました笑
小5の頭悪い私には戦略と言う概念がまるでなかったので、とにかくSナイト使いまくってましたね、なつい…
固定スタメンはカイン、アベル、フレイ、ハーディンです。
ザ・騎馬隊でした
フレイ殿大好きです、はい笑

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