アカネイアall

□アラン
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*サムソンの続きですが、夢主はさっきとは別の人と言うことでおねがいします。

「王子!マルス王子!」

高鳴る胸を押さえながら、私は今の主君の前に跪いた。

「クリス…どうしたんだい?」
「折り入って頼みがございます。西の村に立ち寄る許可をいただきたく参りました」

王子は少し困ったように笑った。

「しかし…先刻東の村で勇者を引き入れてしまった。西の村は門を閉ざしたと思うんだ。残念だけど…」
「王子の判断は正しいでしょう。なぜならば私は、閉ざされた西の門を開ける可能性を持ち合わせているからです」
「なんだって!?そんなことが…?で、でも力でねじ伏せる気は…」
「もちろんです、そのような野蛮なことはいたしません。
ただ、騎士アランとは旧知の仲でございます。私の話であれば聞いてくださるかもしれません」

アランとは、前の主君につかえていたころ同じ隊に属していた仲だ。
そして――彼は私の思い人でもあった。
今も、それは変わらない。
マルス王子は頭を下げ続ける私を見て、許可を下さった。私は一騎だけで西の村に向かった。

 門はすでに閉ざされている。先刻東の村にマルス王子が向かったという情報がこちらに伝わったばかりと見える。
門の前に立つと、門の上の見張り台から罵声を浴びせられた。貴様らに用はない、と。

「その罵声、マルス王子に向けられたものと取っても良いのか」
「そんなもん知るか!誰だろうが、なんだろうが、こっちよりあっちの村をとった輩を通すわけにはいかんでね!」
「では、アリティア騎士ではなく旧知の友として話しをしたい。アラン殿はおいでか!」

門番はおもいきり嫌そうな顔をしながら振り向いて村を見下ろす。
何か確認をとっているようだ。門の向こうからかすかに馬のいななきが聞こえる。
勘違いでなければ、アランはこの門の向こう側にいるのではないか。

「アランよ、私だ。クリスだ」
「クリス…!?…久しいな、戦友よ」

門の向こうから、驚いたような声が返ってきた。

「お前も話に聞いているだろう、マルス様がアカネイアの平和を取り戻すべく進軍中であることを。力を貸してほしい」
「…お前たちが東のサムソン殿を選んだことは正しかった。もはや私は病を負う身。
いつまで馬で駆けていくことができよう、見当もつかぬ」

アランは…病を…。

「私が最後につかえた主君の最後の命令を覚えているか。
食糧難で反乱をおこした貧しい民を殺せと言う命令だ。
私はそれに従い、そののち流浪の騎士となった…この病は、あの時の呪いだ」
「呪いなどと…お前はただ忠実であっただけだ。
私もお前も、使えるお方を誤ったのだ」
「どちらにせよ、私には二君に忠実は誓えぬ。クリス、お前はいったいいつからアリティアの騎士になったのだ」

アランの口調は、腹立たしげだった。

「お前が主のもとを去ってすぐだ。逃げるようにして、主君を裏切った。
お前を探して旅をしていた。だがそんななか暗黒竜メディウスが復活し、マルス王子につかえることに」
「そうか…私を追って…」
「結局今日まで再開はできなかったが――アラン、私が思うにお前は逃げているのだ」

門ごしで、姿も見えないのに殺気が伝わってくる。

「間違った主君を持つことを、お前は恐れているんだ。
それでも、やはりお前は騎士としての人格を忘れきれなかった。
今だってきっとお前は、鎧に身を包み、馬にまたがっているはずだ。
なぁ、旧知の友である私を信じてみないか?マルス王子は正しきお方だ。
それに私は――もう一度お前とともに従軍したいんだ」

だめか?

返事はなかったが門の向こう側が少し騒がしくなった。
そして数十秒ののち、高い壁に囲まれた門が、古い音を立てて開いた。

「アラン…」
「クリス、お前には勝てぬな。…すべて図星だ、腹立たしいことに。
だがとにかく、お前と従軍できるというならば、再び剣をとろうと、そんな考えがよぎり、門を開いた」
「…ああ、ありがとう」
「さぁ、案内してくれ、私の新しい主君のもとへ」


 ともに駆ける



あとがき
アラン殿…こういうのもありだね!登場時からパラディンなのであんまりつかったことはないけど←

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