アカネイアall

□サムソン
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「え、もう一度言っていただけますかマルス様」
「だから、二つの村の仲が悪いから、勇者サムソンか、騎士アランか――どちらか片方しか仲間にできないって話なんだ。
僕にはどうしたらよいのか…」

なんてこった。
暗黒竜メディウスを倒すべき進軍中の私たちアリティア軍は、今西と東の仲たがい中の村の間で立ち往生している。
というのもマルス様のおっしゃるように、西の村に行けば東の村が、東の村に行けば西の村が門を閉ざすと言っているらしい。
ふざけんな見ろ!このマルス様の困ったお顔を!

「そうですね、王子。これは非常に難しい問題です。ただ、今の兵種の割合から行けば、騎手よりも歩兵がほしいところです。
しかもサムソン殿は勇者であり、そんじょそこらの歩兵とはわけが違います。
小隊長を任せることもできましょう」
「なら、君は勇者サムソンをとるということかい?」
「そうです。ああ、よろしければマルス様、私が先に様子を見てきましょう。
王子相手でも門を閉ざすという輩です。
こんなことを申し上げたくはありませんが危険を伴う可能性も否めませんから」
「そうか、ありがとうクリス」

うっふふマルス様お喜びだ、よかった。
私だってマルス様を敬愛する騎士の一人、マルス様のお役にたてるならばうれしいのだ。私
は数人の部下を連れて、東の村へ向かった。

門越しにマルス様の代わりにきたと伝えれば門はぎぃぃっと音を立てて開かれた。
開かれた門の前に立つのは、一人の青い髪の勇者。
彼は凛とした目でこちらを見ている。

「(……っやっべぇぇぇええ!なにあれ超イケメンなんだけどぉぉおお!)」

わ、分かっておるよ!騎士として、マルス様の使者としてそんなこと考えてる場合じゃないってことは!わかってるけれど…!

「貴殿らがこの門をたたいたということは、西の村ではなく東の村をとった――そういうことでよろしいか」
「あ、ひゃい!よろしいです非常に!」

やべっ、かんじゃったよ!

「…マルス王子の使者は本当に貴殿か」
「もっももももも、もちのろんです!」
「…マルス王子は使えるに値する人物かを問いたい」
「聞くまでもなく、王子は使えるに値するお方であります!私はマルス様の使者としてあなたを迎えに来たのです――が」

サムソン殿が、顔をしかめる。

「あの、無礼を承知でお願いしますけど」
「なんだ」
「私個人としても、非常に従軍していただきたい!」
「…はぁ…?」
「あの、つまり、ひとめぼれしたので、従軍してください」

後ろから心配でついてきていたジェイガン様に殴られたことは言うまでもない。
だけど、さっきまで凛とした目で門の前に仁王立ちしていたサムソン殿が、ちょっとだけあわてたように赤面しているのは実にかわいらしかった。

やべぇ、これからの従軍、たのしくなりそうである。



 さぁ、あなたを迎え入れましょう!


あとがき
そして迎えてもらえなかったアラン殿はこのあと引き込みます、ということでぜひアラン殿もよんであげてください←

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