覚醒all

□ロラン
1ページ/1ページ


「髪型、変えたんですね」

前髪をすこし切っただけなのに気が付いてくれたり。

「その色もいいですけど、この前の方が僕は好きですよ」

マニキュアしていることに気が付いてくれた上、この前の色の事まで覚えていてくれたり。

「こういうのが好きかと思ったんですけど、どうでしょうか」

誕生日には私のほしかったものをぴたっと当てて買ってきてくれたり。

ロランは、いつも小さな事に気が付いてくれる。

だから私のことを誰よりもよく知っている。

こんな素敵な人が彼氏なんて、私もなかなか運がいいとおもうんだ。

「…って、なんで俺がお前の惚気をきかなくちゃならねぇんだ」

「え、だってブレディはなんだかんだ言いながら話きいてくれるじゃん」

「ばっかじゃないの!私もそれに巻き込まれてるんだけど」

「え、セレナこういう話すきじゃなかった?」

「誰が楽しくてあんたとメガネの惚気きかなきゃなんないわけ」

食堂で前に座っていたブレディとセレナにロランの話を聞かせたら、なんか不服そうな顔をされてしまった。

「それに運がいいのはロランのほうだとおもうけど」

「え?」

「あんたって私と同じでイケてる女子じゃん?」

「自分で言うなっつの…」

「対してロランはメガネの真面目男じゃない。そんな男がルフレみたいなこをゲットできるなんて異例よ!」

「そ、そこまで言わなくても…セレナだってちょっとしたこと気が付いてもらえたら嬉しくない?
ブレディなんて私が髪きってもまったく気が付かないよ」

「俺にふるんじゃねぇよ!俺だって好きな女だったら髪切ったくらいは気が付くわ!」

「え、ブレディそんな人居るの?!」

「うるせぇっ!って、そんなこと言ってるウチに噂の本人が来たみたいだぞ」

「え、ロラン!?」

今日は書類整理が忙しそうだから会えないと思ったけど…なんて幸運なの!

食事のプレートをもったロランは、私たちに気が付くとこちらへ向かってきた。

「ルフレ、隣良いですか」

「もちろん!今ちょうどロランのこと話してたんだよ」

「僕のことですか?」

首をかしげるロランに見とれていたらブレディのあからさまなため息が聞こえてきた。

「あれ、ルフレ。今日はなんだか頬があかいですよ。風邪ですか?」

プレートを置いて私を見たロランは、数秒間瞬きを繰り返してからそういった。

「ううん。これチークだよ」

「なるほど。そうとは知らずにすみません。
でも、風邪にも気をつけてください」

「お気遣いありがとう!」

「え、ルフレチークしてたの!?
私でも気が付かなかった…」

「ロランが気が付くか試してみようとおもって、すっごく薄く塗ったんだよ」

「愛するルフレの変化なら、どんなに些細でも気が付く自信があります」

もう!ロランったら!

「うわぁ、俺寒気してきたわ」

「でも…確かにすごいわね。これは想像以上よ」

どう、見た?これが自慢の彼氏よ!



 そんな些細なこと




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ