覚醒all

□アズール
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なんていうか、興味がないのだ。

完璧すぎて。

イケメンだし、気配りも出来るし。
私なんかがかまわなくても全然大丈夫なほど周りに人はいるし。

なんていうか、そうね。
タイプで言えばブレディとかが好きなのだ。

いかついあの感じが(え、泣き虫だって?それはそれでギャップ萌えというものが生じるのだよ!)いいと思う。

けどアズールはいつもにこにこ、つかみ所が無い。むしろちょっと苦手なんだよなぁ。

苦手だったんだけど…今私はアズールをがん見している。

あまり人の入らないピアノのおいてある部屋で、アズールが舞っているからだ。

なんだか変態みたいなんだけどあいているドアの隙間から覗くアズールは、かっこいいというより美しい。

くそっ、誰か音楽を付けてくれないか!
すんごいもったいない!

私が弾いてあげられればいいけれど――まさかこのタイミングで入るのは無理だ。

やめとこうと思ってドアから身を離す。

そのとき部屋の中から「うわっ」と声が聞こえてきて、なかからアズールが倒れながら出てきた。

いきなり扉が開いたので私は軽く頭を打ち後ずさった。

「ったぁ…」

「いてて…ああぁあ!ルフレ!ご、ごめん当たった!?」

「う…うん。あ、いやアズールこそ大丈夫?コケたの…?」

あのアズールがコケた?
しかも私がコケたことを指摘するとぶわっと顔を赤くしてうつむいてしまった。
これは…もしや。

「恥ずかしかったの?」

「――っぜっ、全然!ぜんぜんぜんぜん!

あ、ああ、そうだルフレピアノ引けるんだね?ちょうど良いから練習付きあってよ!」

「おっおう!?」

半分パニック状態のアズールの腕を引かれ、気が付いたときには既に椅子に座っていた。

「い、いやあの、アズールの踊りに私なんかのピアノは…」

「もっもしかしてさっき覗いてたでしょ?」

「そっ、そんなことは――」

「ひいてくれたら許すから!」

ね?と真っ赤な顔で言われてしまうとどうにも断れなくて、私は鍵盤に手を置いた。

早く集中してこけたことを忘れて顔の赤みを消したいらしい。

「笑わないでね?」

前置きしてから、さっき覗いていたときにアズールに似合いそうだと連想した曲を弾く。

でも、あれだな。
私が弾いているのにその踊りを見られないのはなんか存した気分なのでちょっと余裕のある部分に入ったところでそっと目を上げてみた。

ふっと踊るアズールと目があって、彼は無意識のようにやわらかな笑みを浮かべた。

私の手はいつのまに止まっていた。

「もう、ちゃんと弾いてくれなくちゃだめじゃない」

笑いながらそう言われて、私は赤面した。

興味がないはずなんだけど…アズールって私の思っていた人とは少し違うのかな?

私はその笑顔から目が離せなかった。


 心舞う




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