覚醒all
□グレゴ
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「ねぇグレゴさん」
「なんだぁ?」
「明日非番でしょう?一緒にいてもいいかな」
「明日は…まぁ何もねぇが。
お前さん、俺といるよりもやることがあるんじゃねぇのかい」
「ない!グレゴさんと一緒にいる以外のことはあり得ない!」
「…あんた、戦闘の時もそうだがな、もっと視野を広く持て」
「普段はわからないけど、戦闘中は確かにそれじゃまずいよね…じゃあ今から稽古付き合って!グレゴさんの大好きな連携を高めるために、さ!」
そうやって呆れたように、仕方ないから付き合ってやるよっていう表情を浮かべるけれど、私は分かっている。
グレゴさんが本当は私のこと好きなんだって事。
だってね、どんなこと言っても結果的に叶えてくれようとするし、急に抱きついたりしてもちゃんと受け止めてくれるし、悩んでいたら年長者であることを理由にしつつ真剣に乗ってくれる。
グレゴさんはもとからそう言う人なんだけど、でも絶対に私に対しては特別なんだって思う。
それくらい愛されてる自覚がある。
それなのにグレゴさんが恋人になってくれないのは、彼が傭兵であり今が戦争中だからだ。
戦争が終わって暮らしていけるだけのお金が手に入れば、きっとグレゴさんはすぐに私のことを恋人にしてくれる。
「ねぇグレゴさん、稽古は?」
「あー…ちょっとまて。年寄りには食後の休憩が必要なんだよ」
グレゴさんは困ったように笑った。私はその太い腕に抱きついた。
グレゴさんはおっきくて、すごく安心する。
「おいおいあんまり強くくっつくな」
「ドキドキしちゃうから?」
「まいったなぁ〜」
「だってグレゴさん抱きつきがいがあるの。おっきいから」
「なんだぁそりゃあ」
「あ!そうだグレゴさん食後の休憩取りたいんでしょ?私の膝を貸してあげるよ!」
と、いつもにはないような提案をしてみると彼はぎょっとしたかおでこちらを見た。
そんなに驚かなくてもいいのに。
「あのなぁ、若い女の子が誰彼かまわずそんなことをいうもんじゃ…」
「グレゴさんにしか言わないから大丈夫。
じゃあ逆にグレゴさんは若い女の子からの誘いをそうやってことわるわけ?」
腕から離れて引っ張れば、別にそんな強引に引いたわけではないけれどグレゴさんはぱたりと倒れた。膝の重みが嬉しかった。
「ふふふっ、じゃああと半刻したら稽古しましょうね」
「…わぁーったよ」
今は、好きだっていってくれなくてもいいんだ。
私のお願い聞いてくれて、そばにいてくれるだけで。
だけでっていいかたはおかしいかな?
むしろこんなご時世ではそばにいることが一番難しいよね。
だから今は必死になってグレゴさんについていくんだ。
いつか平和になってグレゴさんが振り向いたすぐそこに居られるように。
グレゴさんが私に好きだって言えないのは、私のことを思ってだと知ってるから、私はここで待っている。
いつの間に寝息を立て始めたグレゴさんの髪をなでた。
風が頬をなでて通り過ぎていった。
いつの日か
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