覚醒all
□リヒト
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「僕、ルフレさんの事がすきなんだよ」
「あーら、やぁね。子供がなにませたこといってんの」
「もう!子供扱いしないでよ!」
わざとらしい皮肉を言えば、彼の口癖が返された。
「じゃあ教えてよ、どうやったら僕が男に見える?」
「あと十年はたたなくちゃ無理ね。私グレゴさんくらい歳くって落ち着いた人が好みだから、まぁ諦めなさい」
「それグレゴさんに言ったら泣くと思うよ」
「そんなわけないじゃない。泣いて喜ぶわよ」
そうかなぁ、なんて。そんな真剣な顔で考えないでよ。
「あのね、あんたがいい男になるころには私はおばちゃんなのよ」
「じゃあおばちゃんなのにいい男が横にいたらお得だと思わない?」
「かわりにあんたが恥をかくのよ」
「別に僕は気にしないよ!
いまはその、兄弟とかに間違われちゃうのは恥ずかしいけど…僕ってそんなに子供っぽいのかなぁ。」
子供っぽいっていうか、私より年下なのよ。
それは変えられないことじゃない?
「でも、僕本当に見た目とか歳とかきにしないんだ!
ルフレさんが気にするなら、ぼくがいい男になるまで待つから」
「嫌よ。そんなに待ってたら私行き遅れじゃない。
おばちゃんになっちゃうまえにグレゴさんに嫁に貰って貰う予定なんだから」
「またグレゴさんって…」
ごめんねグレゴさん勝手に名前出しちゃって。
あとでお詫びしよ。
本当は、私の方が子供なんだろうな。
年の差を気にしないのは彼が若いからかもしれないけれど、それよりずっと彼が大人で、心が広いからだと私は思う。
人の目を気にするって、その方がむしろ子供っぽいわよね。分かってる。
分かってるから、一歩踏み出す勇気が出るまで、もう少し待ってて。
どっちが子供なのかしら
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