覚醒all
□カラム
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どこに居ても探し当ててくれる彼女が、少し苦手だ。
「カラム!今日のお昼一緒に食べよう!」
「うわぁっ」
「え?なぁにびっくりして」
「…なんでもない」
僕は別に、自分の影が薄いことを気にしてはいない。
むかしは寂しい思いをしたけれど、クロム達が仲良くしてくれるようになって、影が薄いならそれをいかせるっていうふうに考えられるようになったから。
むしろ、この影の薄さこそが僕なのかもって、そう思う。
だけど、ここまで正面から話しかけられると…僕の方が驚いてしまう。
いつもは驚かせてしまう側なのに。
「お昼は僕となんてやめておいたほうがいいよ。
誰としゃべってるのって聞かれてしまうだろう?
君が独り言を言っているみたいにみられたら、なんだかよくないきがするよ」
「まぁ、たしかに今も私が一人でしゃべっているように見えるのかも」
そうだよ。だから早くいってしまえよ。
僕から僕を奪わないでくれよ。
「でもまぁ、いいじゃないの!
一人くらいカラムのことちゃんと見えてる人がいたって。
カラムはいつも見えないところでみんなを支えてくれるじゃない?
でも、一人くらいあなたのこと見えてないと、あなたのこと助けられないわ」
「僕は別に大丈夫だよ」
「あー!うるさいわね!
女の子が食事に誘ってるんだから黙ってついてきなさいって!」
でも。
君の瞳に僕が映れば、そこには僕が居るって事で。
僕から僕が居なくなっても、君のものになるならいいのかなって、そう思ってしまうんだよ。
「ね?大好きよカラム」
「…僕もそう思うよ」
「はじめてそう言ってくれたわ!」
ルフレは、心底嬉しそうに笑った。
君が見える
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