覚醒all
□ソール
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※パーティはフレデリクの時と同じでクロムの誕生日会です
その日は朝からすっごくいそがしかった。なんて言ったって今日はクロム王子のお誕生日のパーティがあるからだ。
女中としてイーリス城で働く私も朝からその準備にかり出されていた。
そしてつい一時間ほど前、準備は全て整いパーティが始まった。
すっかり外も暗くなってしまい、包丁を握っていたせいか肩もこった。
疲れた。
だけどおいしそうに料理をほおばる皆さんを見ていると、つくったかいがあったと嬉しい気持ちになる。なるけど…
「ソールさん!いくらなんでも食べ過ぎですよ!」
「ええ!まだ足りないよ!
あ、ルフレちゃんが作ったの他にないの?」
「あとはあの肉料理だけですよ。あなたが全部食べちゃうから」
「よぇし!あれも全部いただきます!」
「えぇえ!あの肉料理をまさか一人で食べる気ですか!」
「そうだけど…?」
「さすがに無茶です!止めてください!」
必死になって止めると「ルフレちゃん作ったもの僕に食べられちゃうの嫌?」なんて聞かれてしまう。
そう言うわけではない。
むしろ嬉しいけれど…
「私の作ったもののせいでお腹を壊されるのは一番嫌です」
「そ、それもそうかも…けど!
今日くらい大目に見てよ!
君の作ったご飯が食べられるなんて滅多にない機会なんだ」
「いやそれはいいすぎですって…ソールさんからお願いされればいつでも作ってあげますから、だから無理なさらないで」
「え、本当に!?」
「本当ですよ」
だから、ね?となだめれば、じゃあ肉料理は味見だけにしておくねと引き下がってくれた。
良かった。
「じゃあ毎日つくってくれる?」
「毎日ですか?まぁ忙しくない日でしたらおやつでもつくりましょうか」
「んー…毎日君のスープが飲みたいんだよ僕は」
「いいですけど…」
「っじゃあ!僕と結婚しよう!」
会場が静まりかえった。
熱っぽい視線を向けてくるソールさんにみんなが注目した。
私は頭から湯気を出しそうなくらい真っ赤になった。
君の手料理
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