覚醒all
□ヴェイク
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「斧良し、回復の薬良し、装備良し、お昼良し、体良し!」
「体良しってなんだよ」
「いや体忘れて魂だけ行っても戦えないじゃない」
今日は、愛するヴェイクの遠征出発日である。
恋人の私は忘れ物が多い彼のために持ち物確認を行っていた。
あいにく私はイーリス城の警備で残るから、彼とはしばらく会えなくなる。
「…」
「そんなさみしそうな顔すんなよ」
「しっ、してない!別にヴェイクがいなくたってやってけるもん」
「またそうやってお前は…。まぁいっか。
じゃ、そろそろいくぜ」
あ…まただ。
また素直になれなくて彼女らしく送り出してあげられない。
私はいつだってさみしいとか、無事に帰って欲しいとか、そういうことがうまく言えなくて素っ気なく送ることしかできなくて…
部屋をでて行くヴェイクの背中を見つめて、なんか泣けてきた。
ごしごし目をこすって、さぁ自分も警備の支度を始めないと。
私が扉に背を向けたその時、扉が再び開かれた。
「わ、忘れ物あったの?」
ちゃんと確認したはずだけど…
「おう、一番大事なもの忘れてくとこだったぜ!」
「え?一番大事なもの忘れたらダメじゃない」
「そうなんだよ、俺様としたことが…。
ルフレ」
ヴェイクが手招きするからよくわからないままにもう一歩距離を縮めるとガッと後頭部を掴まれた。
驚いて後ずさる時間もあたえずに、深いキスが降ってきた。
「〜〜〜〜!!」
「じゃ、行ってくるぜ!」
あ…ああまたいってらっしゃいが言えなかった。
だけど唇にふれたぬくもりは当分消えてくれそうにない。
帰ってきたら、お帰りとキスをくれてやろうと心に決めた。
わすれもの
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