覚醒all
□フレデリク
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「ルフレさん、予想以上の美しさに驚きました」
「やめてください笑顔を貼り付けてこっちに来ないでください」
今日はクロム様のお誕生パーティーで、城は朝から忙しかった。
私も料理とか、準備とか出来ることはお手伝いして、ほっと一息ついた頃にはリズさんに洋服屋に連れ込まれ、ドレスを着せられた。
「わぁ!すごく綺麗だよルフレさん!
これならきっとフレデリクさんも驚くよ!」
純粋そうな笑みを浮かべた彼女の言うとおり、フレデリクは驚いたように私を見ていた。
そうよね、私も騎士団に入ってからこんな格好するの初めてだもの。
「ご自分で選ばれたのですか?」
「リズさんが選んでくれたのよ。なかなかでしょう?」
「ははっ、あなたなら何を着ていても似合いますけどね」
「いいよそういうのは…」
「本気ですよ。しかしそのドレスはなんだか…」
ぐっと距離を詰められて、私は息をのむ。
後ずさりたいのだが、あいにく慣れないヒールのせいで上手く足が動かない。
「とてもセクシーですよ」
「やっ、やめなさい!」
「ぐっ」
顎に頭突きをかませ、なんとか後ずさる。こりないフレデリクは追いかけてくる。
や、やばいもう少しでバルコニーに――そのとき、私はバルコニーへの段差に気が付かず、ヒールをひっかけて後に倒れ込んだ。
まずい!
足を出すけどドレスにひっかかってうまくいかない!
けれど全てお見通しみたいに、フレデリクの腕が背中に回されて、不覚にも私はその腕に助けられてしまう。
訓練生になったばかりの頃は、フレデリクはもっとよわそうだったのに。
その腕が思った以上にたくましくて赤面してしまう。
「あああありがとう!
でももう結構!はやく離して!」
「いけませんねぇ暴れては。
おっとっと。足が滑ってしまいました」
うそこけ!そのまま私はバルコニーに連れて行かれてしまった。
辺りは暗いし、まだパーティーはこれからだから周りにはあんまり人もいなくて――
「フレデリク…」
「ルフレさん、結婚しましょう」
「っそれ、3回目!」
「そうですね。私が騎士になった日と、クロム様の側近に選ばれた日にも。
見事玉砕されましたが」
「んな、なんで3回目は普通の日なのよ」
「今日は訓練生としてイーリス城の門をくぐって十年目ですよ。
つまりはルフレさんと出会って十年目です。
本当はわかっていたでしょう?」
笑顔を絶やさずに、でも本当は頭の中で色々考えているこの男の行動は私は未だによく分からない。
けど、そうね。
今回はちゃんと考えてあげてもいいかもね。
「今回はあなたが忙しくなさそうだから真面目に考えてあげる」
「…どういうことでしょう?」
「馬鹿ね。騎士になった日だとか、クロム様のお付きになった日にプロポーズされたってひるんじゃうだけなんだから」
フレデリクは目を大きく見開いた。
やめて、もうそれ以上その瞳に真っ赤な私の顔を映さないでよ。
私は彼の目に映るかっこうわるい自分を消すように、噛みつくように口付けた。
3度目の
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