真と偽り
□第4話
2ページ/2ページ
えーっと最後は……二番隊か。あそこの隊長とは会わないようにしてるんだけどなあ。その辺の隊士に渡しておけばいいか。
「失礼します。十番隊第三席、月宮です。書類をお届けに参りました」
「ご苦労様です。すみません、隊長は今留守なんですよ」
よし! いいタイミング!
「そうですか。では、これを砕蜂隊長に渡しておいていただけますか?」
「わかりました」
さて、帰ろう。
「おや? 月宮三席」
ビクッ!
後ろを向くと、そこには丁度今帰ってきた砕蜂隊長がいた。
バッドタイミング……。
「お久しぶりです、砕蜂隊長」
「ああ。よかったらお茶でもどうだ。丁度話したいこともあるんだ」
こっちは話したいことなんてこれっぽっちもない。
「……はい。お言葉に甘えて」
こういうときに立場が下というのはきつい。しかも相手は隊長。そう容易に断れないからなあ。
「どうぞこちらへ」
隊主室に案内された。
「単刀直入に伺います。あなたは約100年前、二番隊第三席を務めていましたよね?」
相変わらず鋭いな。
「私は2年前に入隊しました。そんな昔にここにいたことなど……」
「それは月宮零として。あなたは月白凜華(つきしろりんか)様ですよね?」
完璧気づかれてるなあ。
「……そうですよ」
「やっと、お会いすることができました」
……っ!
殴りかかってきたのを素早く避けた。
「相変わらずお速いですね。なまってはいないようで、安心しました」
やっぱ恨まれてるか。
「あなたにはいくつか聞きたいことがある。まず、どうして姿を消した」
あらあら、敬語がなくなっちゃった。最初のあれは私を油断させるためのものか。
「ここに残ることができなかったから。こっちにだっていろいろ事情があるの」
あの状態で残れるわけがない。
「それは……」
「夜一さんは知らないよ。あの人がどうしてここを去ったかなんて知らない。ただ言えるのは、あの人はちゃんと生きてるってこと」
あの人が死ぬわけない。
「当時の私はあなた方を尊敬していた。だが今は違う。超える壁として見ている。私と戦え!」
戦う……。
「嫌だ。戦う理由がないし、大体今は仲間同士。そんなことできないよ」
砕蜂と戦ったら今の霊圧ではいられない。解放したらばれる危険性がある。
「貴様……!」
「今は戦わない。ただ、私に隙があらば斬ってくれて構わない。周囲に見られようがその辺は適当に理由付けしておけばなんとでもなる。殺したければ殺せ」
殺せるなら、ね。
「このー!」
斬りかかってきたのをすんなり避け、瞬歩で隊舎に向かった。
はあー。これからはもっと神経使うな。