背中合わせのあなたと私
□第6話
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あっ、やばい。このままじゃ時間に間に合わない。……まっ、適当に言っとけばいいか。
そんなのんきなことを考えながら運転していると、前に見覚えのある車があった。
あれは確か……阿笠さんの……。へえー、もう嗅ぎつけたのか。さすがだねえ、探偵君。
そう思いながらそれを追い越し、目的地へと向かった。
「ちょっと何さ! なんで、この女がいるわけ!? 聞いてないよ! カルバドスを勝手に連れ出して見殺しにしたこの女が、計画に加わるなんて!」
キャンティーか。……にしてもうるさいな。地下なんだから響くっての。
「こんなところで喧嘩するのはやめてほしいんだけど」
キャンティーの車の横に車を止め、窓を開けながらそう言った。
「……っ、ロゼ!」
「大体、ベルモットだけを責めるのも間違ってるけどね。カルバドスを見殺しにしたってのは私も一緒だし。まっ、助けようにも、その前に彼は自決したけど。それに彼はスナイパー。存在、居場所を知られた時点でスナイパー失格だし、逃げることもしなかった。逃がそうにも、彼は両足を折られていて自分で動くことは不可能。女の力で男を運ぶってのは無理がある。つまり、彼はあそこで死ぬ以外の選択肢がなかったの。情報を渡さなかっただけ偉いと思うけど」
「でもね!」
「まっ、ベルモットは今からやる計画には関わらないんだし、無事キャンティーとコルン、キールが仕事をこなせばベルモットは用なし。だから頑張ってね、3人とも」
「時間に遅れてるくせによくそんなことが言えるな」
ジンにギロッと睨まれてしまった。
「道が混雑してたんだからしかたないでしょ」
「計画はちゃんと頭に入ってんだろうな?」
「当然」
入ってなかったらそれこそ怒られるだけじゃ済まない。
「……ってか、これ、私必要なの?」
指揮官にジン、その相棒のウォッカ。標的誘導役のキールにスナイパーとしてキャンティーとコルン。保険としてベルモット。
「お前も念のためだ」
保険は2つもいらないと思うけど。
「あっそ」
「とっとと行きましょう。時間も限られてるし」
「ああ」
私たちは各自で狩り場へ向かった。