背中合わせのあなたと私

□第2話
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 ――バンッ!

 あれ? 来るの遅かった? ……まあいいか。

「警察までドライブしようぜ」

「それは遠慮させてもらう」

 そう言いながら、彼の後頭部に拳銃を突きつけた。

「……っ!」

「遅いわよ」

「いやー、いろいろ準備してたら遅くなっちゃった。ごめんね」

「(組織の一員!?)」

「はあー、相変わらずね」

「そりゃどうも。……さて」

 この子どうしようかな。

 ブー。

 エンジン音?

「来るな! 来るんじゃねえ! 馬鹿野郎!」

 タクシーから降りてきたのは、シェリーだった。

「互いを助け、互いの命を削る。それは破滅への道」

「……っ!?(こいつ、何言ってやがる!?)」

「さて、滅ぶのはどちらか。もしくは両者ともに……」

「逃げろ灰原! こんなところから早く……」

 彼が動揺している隙に、ベルモットが彼の持つ麻酔銃で眠らせた。

「Good night baby and welcome sherry」

「ちょっと待った、ベルモット」

 私はシェリーをかばうようにしてベルモットの前に出た。

「ロゼ……邪魔する気?」

「もちろん」

「ロゼ……」

「久しぶり、シェリー」

 そんな恐怖に満ちた顔しちゃって。

「大丈夫よ。ちゃんと守るから」

「邪魔するならあなたも……」

「あら、彼をかばったくせに、私のときは殺そうとするの? それは酷いわね。彼を眠らせたのは彼を守るため。私がいつ撃ってもおかしくない状況だったからね。あなたがクールガイやエンジェルに甘いように、私は彼女ら姉妹に甘いのよ。大体この仕事を引き受けたのだって彼女を殺させないため。まだ殺す気でいるなら、私も黙ってない」

 ガタン!

 えっ?

 トランクから蘭ちゃんが出てきた。

 なんで……。

 バンッ!

「待って、カルバドス!」

 バンッ!

 このままじゃ志保にも当たる。

 バンッ!

 彼の真横目がけて引き金を引いた。

 再び前に目を向ければ、蘭ちゃんがすぐ傍まで来ていた。

 私が避けると、彼女は志保をかばうようにして倒れ込んだ。

「さあ、その茶髪の子から退きなさい。死にたくなければ早く!」

 バンッ!

「だめ、動いちゃ」

「さあ、早く退くのよ」

 バンッ!

 ベルモットがこんなに動揺してるところ、久しぶりに見た。

「やめて! 警察読んだから、もう少しだから」

 ……っ! 明美……。

 すごく怖いのに、それでもこの子を守ろうとする……。似てるね、彼女に。

「ベルモット、諦めろ。ここは……」

 バンッ!

 ……っ!

 ベルモットが腕を撃たれた。

「ここなら、ライフルの死角」

「いつの間に」
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