過去と現実と未来と
□第1話
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戻ってきてしまった……。
二度と戻ることはないと思っていた、この場所に。
「はじめまして。君が長谷川海夜ちゃんだね。僕は君の担任の鳴海・L・杏樹。よろしくね」
応接室で待っていると、教師とは思えない男が入ってきた。
杏樹……なのか? 名前は同じだが、雰囲気が昔と全く違う。……そうか。こいつは教師になったのか。
「海夜ちゃん?(雰囲気があの人と似てる……)」
「あっ……よろしくお願いします」
衝撃的すぎてついぼーっとしてしまった。私だとばれることはないから気を張る必要はないな。
「じゃあ教室に行こうか」
私が在籍する初等部B組の教室に案内され、簡単に自己紹介をして空いている席に座った。
「はじめまして。ウチ、佐倉蜜柑!」
元気な女の子がそう挨拶してきた。
あー、この子が……。
「よろしく」
そう素っ気なく返しておいた。
深入りする必要も、仲良くする必要もない。必要以上に関われば彼女を巻き込むかもしれない。
「私は今井蛍。よろしくね」
クール系の美少女も挨拶してきた。
「よろしく」
はあー、転校初日だけどどっかでサボりたい。
周りにいた子がどんどん自己紹介してきたため、私はそれを軽く流していった。