つながる想い
□第9話
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「んっ……」
雨の音でいつもよりも早く目が覚めた。
雨、か……。
まだ寝ている優也を起こさないようにそーっと部屋を出た。
明日からは合宿。そして今日は生憎の雨。練習も軽めになるな。
「美優? どこかに行くの?」
目の前には亮さんがいた。
「……早いですね」
「目が覚めちゃったんだよ。雨こんなに降ってるしね」
なるほど。
「ちょっと買い物に行ってきます」
「こんな早くに? どこもやってないと思うけど」
「現代には24時間営業の店がたくさんあるじゃないですか」
にこっと微笑み、傘をさして寮を出た。
寮を出てから30分以上は経過しているだろう。その間にも24時間営業の店、世間一般で言うコンビニは3軒ほどあったが寄ることなくぶらぶらと歩いている。
ブー、ブー。ブー、ブー。
ポケットに入れておいたケータイが振動を伝える。
……長い。電話か?
特に深く考えずに電話に出た。……そのことを後々後悔する。
「はい」
「美優! 今どこにいる!」
あっ……出なきゃよかった。
「コンビニで必要な物買う予定だけど。何? 何かいるの?」
スポドリとか?
「どこのコンビニだ! 俺が今すぐ行く」
げっ……。
「別にいいよ。そんな大量に買うつもりないし。何かいるなら私が買ってくるし」
とにかく来るな。
「美優、正直に言え。今どこに……」
ブチッ!
面倒だったため、一方的に切った。