つながる想い

□第2話
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 ふうー、やっと一息つけた。やっぱゆっくりできるのは食事するときとお風呂入るときだよな。

 そんなことを思いながらいつもの席に座った。

「お疲れ」

 それからすぐに隣からそう声がかかり、その声の主は私の右隣に座った。

 食堂入り口から一番遠い端、そこが私の特等席。そしてその右隣は私の相棒の特等席だ。

「美優、このあとなんかあるのか?」

「ん? 今日はこのあと皿洗ってここか部屋でメニュー作成の続き。それが落ち着いたら風呂」

 今日は自由時間ないかな。でもなあ……無理やり作るか。

「そうか」

「なんか用があった?」

「いや、なんでもない。ただ聞いただけだ」

「そう」

 そう返事をして箸を進めた。

「ここ座るぞ」

 私の目の前に一也が座った。

「なあ、美優。降谷と沢村のことなんだが――」

「ここ座るぜー」

 一也の声をかき消して彼の隣に座ったのは倉持だった。

 このパターンは……。

「あっ! 倉持、抜け駆けはだめだよ」

 亮さんがそう言いながら倉持の隣に座った。

「抜け駆けは御幸っすよー」

「早いもん勝ちっすよ」

「先輩に譲れ」

 いつの間にか一也の後ろには哲さんが。

「て、哲さん……」

 うわー、すごい威圧感。

「哲さん、優也の横空いてますから、そこで勘弁してあげてください」

 面倒なことになるのも嫌だったので、そう助け舟を出した。

「わかった」

 それで納得したのか哲さんは優也の隣へ。

 そこから次々と人は集まり、いつの間にか主力メンバーが揃っていた。

 みんなはわちゃわちゃと話す中、私はカタカタとデスクワークをやっていた。

「それ、明日のメニューか?」

 いつの間にか哲さんが後ろから覗き込んでいた。

「はい」

「ん? 俺のか」

「そうですよ。明日からはもう少し打つノルマを増やします」

 終わってからもあれだけ素振りしてるし、楽勝だと思うけど。

「わかった」

 もうすぐ終わる。

「終わったあ!」

 ふうー、意外に早く終わったな。皿洗い皿洗い。

 パソコンと書類を片付け、厨房に入り、皿洗いを始めるのだった。
 

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