真と偽り
□第7話
1ページ/1ページ
隊主室。そこには今、俺と松本の2人しかいない。
定時を過ぎた今、残っているのは俺たちぐらいだろう。
「どうです? 隊長。いいデータは集められそうですか?」
「まあまあだな」
……やっぱり月宮のデータが少なすぎる。斬魄刀を抜いたことは一度もねえし。
「あの……隊長。零の始解、一度も見たことがないような気がするのですが……」
「ああ、俺もだ」
あいつがここに来て2年。未だに始解を見たことがない。
「隊長もですか!?」
そんなに驚くなよ。
「ああ。だがあいつの鬼道も斬術も隊長クラスだ。霊圧の探知能力やコントロールは尸魂界一だろうな」
隊長の席に空きがあったら、あいつは絶対隊長になれる。あいつはそれほどの器だ。
「零は、どうして死神になったんでしょうね」
最初はきっと、誰かを守りたかったからだろ。でもたぶん今は違う。今のお前からは、そんな意志は感じられねえよ。
「……さあな」
なあ月宮。お前は今、なんのために戦ってんだ?
「松本、明日の夜は空けとけよ」
「はい」
直接本人に聞くか。