真と偽り

□第4話
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「月宮です。書類を届けにきました」

「入れ」

 それを聞いたあと扉を開けた。

「失礼します」

 そう言って一礼し、中に入った。

「早いな、月宮。助かった」

「いえ」

 そう答え、書類を机の上に置いた。

「隊長、この机は?」

 さっき書類を取りに来たときにはなかったはず。

「あー、それはお前のだ」

 私の!?

「うちの副官がどうにも頼りなくてな。俺だけだと全然進まねえんだ。そこでお前に補佐を頼みたい」

 そういえば、松本副隊長の姿が見えないな。

「わかりました」

 副官補佐も私の仕事の内だし。

「ここにある書類、全部今日中ですか?」

「ああ。松本の机に置いてあるもの以外全部な」

 えっ……。

 私のところには3つ、隊長のところには4つの書類の山がある。

「わかりました。すぐに片付けます」

 これを全部1人でやろうとしてたのか。

 自分の机にあるものを2時間。あと隊長のところから1ついただいて、それは1時間で終わった。

「月宮、お前すごいな」

「そんなことありませんよ」

 自然と昔の光景が頭に浮かんだ。

「そうか。……で、松本。お前はいつまでそこに立っているつもりだ」

 急に隊長の声が低くなった。

 これはやばいな……。

「書類届けに行ってきます」

 必要な書類を持って執務室を出た。

 そのあとそこには大きな雷が落ちるのであった。
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