真と偽り

□第2話
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「……宮、月宮!」

 ん?

「あっ……隊長」

 声がしたほうを向けば、なぜか不機嫌そうな顔の自隊の隊長の姿。

「いるならいるって言ってくださいよ、びっくりするじゃないですか」

「……何度も声はかけたんだがな?」

 あっ、また不機嫌になった。

「それで、ご用件は? 休憩していただけなのでもう少ししたら戻るつもりではありましたけど」

「悪いが今すぐ戻ってくれ。副官の姿が見当たらなくてな、俺だけだと追いつかねえんだ」

 あー、またか。

「わかりました。まあ副官補佐も私の仕事ですからね」

 むくっと起き上がり仕事へと体を戻す。

「では隊長、とりあえず目処が立ったので他の隊に渡すものを渡してきます」

「ああ、頼んだ」

 必要書類を持って隊舎を出て、目的地へと向かった。

 えーっと、今日は七番隊と四番隊と六番隊か。

 順番に書類を届けに行き、最後は六番隊。

「零じゃねえか」

「あっ、恋次」

 丁度良いところに。

「これ書類」

「おう、サンキュー」

「ちょっと頼みがあるんだけど」

「なんだよ」

「隊舎牢に行きたいんだけど」

「お前……」

「レッツゴー」

 恋次の返事も聞かずに隊舎牢へ足を進める。

「死神になった人間は殺せたの?」

「朽木隊長が鎖結と魄睡を破壊したから死んでんだろうよ」

「ふうーん」

 つまりとどめは刺してないのか。

「どんな奴?」

「勝てないってわかってんのに挑んでくる馬鹿な奴」

「ふうーん」

 そういう奴ってしぶといんだよね。

 そんな会話をしていれば、目的地へと着いた。

「ルーキア」

 そう彼女の名を呼べば、彼女は顔だけこちらに向けて、その黒い瞳が私を捉えた。

「……零」

「おはよう、ルキア」

「……今は昼過ぎだが」

「そんな細かいこと気にしなくて良いの。……恋次、席外してくれる?」

「……ああ」

 恋次は外に出ていった。
 

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