真と偽り

□第1話
1ページ/1ページ

 雨が頬を撫でる。

 誰かが泣いているの?

 それとも私の代わりに泣いてくれてるの?

 もう約100年の時が流れたよ。

 あなたを失ったのに、どうして私はまだここにいるんだろう?

 一番大切だった、守りたいと思ったあなたを失った。

 そんな私が、他の人を守れるわけないのにね。

 どれだけの時が流れたって、あなたのいないこの世界は慣れない。

 いつもいつも面影を無意識の内に探してしまう。

 戦う理由も、大切な人も、もう私にはない。

 涙は枯れ、笑顔は消えた。

 そんな私に残されたもの。

 それは……偽り。

 さあ、偽りと共に生きようか。
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ