悪鬼滅殺
□第2話
1ページ/2ページ
「はあ、はあ……」
なんとか間に合った。
「おっ! 皐月じゃねえか! 久しぶりだな!」
声がしたほうを見れば、長身の派手好き男がいた。
「久しぶり、天元」
音柱、宇髄天元。
「皐月がギリギリに来るのは珍しいな! だが、間に合って何よりだ」
次に声をかけてきたのは面倒見のいい兄的存在。
「ご無沙汰してます、杏さん」
炎柱、煉獄杏寿郎。
「それで、今はどういう状況なんですか?」
揉めてるような声が聞こえたけど。
「鬼を連れた鬼殺隊員がいたので、裁判にかけるところです」
説明してくれたのはいつも笑っている優しい女性。
「しのぶ、もうちょっと詳しくお願い」
蟲柱、胡蝶しのぶ。
「那田蜘蛛山に十二鬼月がいる可能性があったので私と富岡さんで対処しに行ったのですが、そこで女性の鬼に遭遇。殺そうとしたところでそこで取り押さえられている竈門炭治郎君が庇い、妹である鬼を連れて逃亡。お館様から連れて来るように指令が入ったのでここまで連れてきました。柱の大半は殺したほうが良いという意見です」
鬼を連れた少年……。
「皐月? 大丈夫ですか? わからないところがあれば補足しますよ?」
「ああ、いや、大丈夫。ありがとう」
「オイオイ、何だか面白いことになってるなァ」
「困ります不死川様。どうか箱を手放してくださいませ」
「鬼を連れてた馬鹿隊員はそいつかいィ。一体全体どういうつもりだァ?」
現れたのは全身傷だらけの男。風柱、不死川実弥。
あの箱の中に彼の妹が。
「胡蝶様、申し訳ありません…」
「不死川さん、勝手なことをしないでください」
あっ、しのぶが怒ってる。
「鬼が何だって? 坊主ゥ。鬼殺隊として人を守るために戦えるゥ? そんなことはなァ、ありえねぇんだよ馬鹿がァ」
そう言いながら箱に刀を刺した彼。
こいつ……。
「俺の妹を傷つける奴は、柱だろうが何だろうが許さない!!」
そう言いながら走っていく少年。
「ハハハハ!! そうかいよかったなァ」
「やめろ!! もうすぐお館様がいらっしゃるぞ」
少年が頭突きをしようとしたところで間に入り攻撃を止めた。
「なっ……」
「邪魔すんじゃねえ! 皐月!」
「実弥、いい加減にしろよ」
実弥をギロっと睨んだ。
「(すごい殺気だ。この人、すごく怒ってる匂いがする)」
「お館様のお成りです」
「よく来たね、私の可愛い剣士たち」