氷雪の君

□第1話
1ページ/1ページ

「今回は彼女にも参加してもらう」

 レオナさんがそう言ったため、私はみんなの前に出た。

「誰だ?」

「見たことないわね」

「おいあれって……」

「あの人は……ユキ・フィリット!」

 ……外野がうるさいな。

「ユキ・フィリットです。よろしくお願いします」

「出発は3日後だ。では解散!」

 次々と部屋から出ていった。

「ユキさーん、いつ戻ってきたんですかー?」

 ラックがそう言いながら駆け寄ってきた。

「えっ? ラック、知り合いなの?」

 そう声を発したのは初めて対面する新人団員、ノエル。

「知り合いも何も、ユキさんは黒の暴牛の一員だよ」

「そうなんですか!? はじめまして、俺はアスタっす!」

 元気だなあ。

「うん、君たちのことは聞いてるよ。アスタとノエル、これからよろしくね」

「(……聞いてるって誰からかしら?)」

「よろしくお願いします!」

「ユキさんはね、団長の次かその次くらいに強いんだあ」

「すげえー!」

 そんな目をキラキラさせないでほしい……。

「ねえユキさん、久々だし、僕とやろうよ」

「好戦的なところは相変わらずだね、ラック」

「久々? 任務ですか?」

「うん、まあね」

「でも基本的にはまだ任務中ってことにしてサボってるんだよねー」

 ゴンッ!

「……ラック、何か言った?」

「……言ってません」

「(あのラックが、反応すらできずに殴られた!?)」

「(ユキさん、やべえー)」

「ユキ」

 軽くじゃれているとレオナさんに呼ばれた。

「今行きます! じゃあ3人とも、またね」

 3人にそう言い、レオナさんの元へ向かった。
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ