ジョジョ夢
□女の子の日
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そろそろ来るとは思っていたんだ。
もともと生理痛が酷い私は、何日か前から生理痛用の薬をちゃんとポーチの中に入れて持ち歩いていたのに。
女の子の日
その日は仕事も忙しかったせいか、21時前には酷い眠気に襲われてしまい、承太郎に先に寝る事を告げて布団に横になって眠りについていた。
だが。
「……ぃた…」
突如お腹に鈍い痛みを感じて、深い眠りから目が覚める。
ズキリと強い痛みが襲い、意識は一気に覚醒する。
「ぅ…」
この鋭く鈍い痛みは、生理痛だ。
予定日を一日過ぎていたし、ナプキンは一応つけていたからその辺の心配は大丈夫。
心配だったのは、この痛みだ。
生理痛が酷いから、いつも痛みの予兆がきたらすぐに鎮痛剤を飲むようにしていた。
だけど、まさか寝ている時に来るとは思っていなかった為に油断していた。
こんなに痛みが強くなってしまっては、薬を飲もうにも、動けない。
痛むお腹に手をあてながら、少しばかり離れた隣に敷かれた布団をみると、承太郎が眠りについていた。
枕もとにおいてあった携帯で静かに時刻を確認すると、午前2時半。
きっと今彼を起こしても、怒ったりはしないだろう。だけど…明日だって学校があるだろうし、こんな時間に起こすわけにはいかない。
そう思って、静かに痛みに耐える。
この強い痛みの波が少し治まったら、薬を飲もう。
承太郎に気づかれないように、もれそうになる声を飲み込む。
「……ふ…」
痛みで顔を歪めながらも、必死に耐える。
じっと静かに待つも、痛みは全然治まらない。むしろさっきよりも痛みは強くなっている。
駄目だ。痛い。
痛いよ。
「おぃ、どうした」
静寂な部屋に響く声。
「どっか痛ぇのか…!?」
布団で寝ていたはずの彼がいつの間にか私の横に来て心配そうに顔を覗きこんでいた。
「じょうたろ…っ」
彼の顔を見上げ驚いたが、ズキッと痛むお腹に俯いてしまう。
「…お腹、痛ぇのか」
いたわる様にそっとお腹をおさえていた私の手の上に、手をのせた。
返事の代わりにコクリと頷くと、ちょっと待っていろと頭を一撫でして部屋をでていった彼。
少しすると、薬と水を持って部屋に戻ってきた。痛みでうまく動けない私をゆっくりと起き上がらせて、薬を飲ませてくれる。
そして、薬を飲み終えたのを確認すると、またゆっくりと布団に横たわらせてくれ、優しくお腹をさすっていてくれた。
それからしばらくすると薬が効いてきたのか痛みはだいぶ和らいでいた。
「もう、大丈夫…」
お腹をさすってくれている承太郎の手に自分の手を重ねて、彼を見つめる。
「いいのか?」
「うん、だいぶ痛みが和らいだよ」
その声に、安堵の表情を浮かべる承太郎。
「ありがとう。…起こしちゃってごめんね」
「いや…気にするな」
じっと顔を見つめられる。
「どうしたの…?」
「お前はいつも我慢する。我慢なんてするもんじゃあないぜ」
「…我慢なんて…」
「我慢してただろが。なにかあったらすぐ俺に言え。痛い時は痛いって言え」
「承太郎…」
「もっと俺を頼れ…お前はいつも無理をするから気が気じゃねぇ」
「…ごめん…」
「好きな女に頼られるのは、嬉しいもんなんだぜ」
好きな女…。
彼の言葉にドキッとする。
一気に体温が上がってしまった。
「うん…我慢しないようにする」
あぁ、顔が熱い。
さっきまですごくお腹が痛かったけど、今はドキドキして胸が苦しい。
愛しい人がそばにいてくれる。
こんなにも近くで、優しく頭を撫でてくれる。
…私、今すごく幸せだ…。
「承太郎、大好き」
照れながら言葉にして微笑むと、そっと頬に手を添えられた。
「…名前…」
どんどん近付いてくる彼の整った顔。心臓の鼓動が速くなる。
「愛してるぜ」
触れる唇に、静かに目を閉じた。