★婆娑羅の館

□第一不審者発見
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☆祝い事

「あがったぞ。」

そう言う彼の頭はべちゃべちゃ。

「黒田さんここに座ってください。」

素直に背を向けて座った黒田さんは武士としてどうかと思う。

ドライヤーのスイッチを入れた瞬間多少ビクッとしたがシャワーで慣れたらしい。

期待していた俺としては少し残念だ。

「黒田さん、終わりましたよ。」

「・・・ぇでいい」

「ん?」

「官兵衛でいい。仲間にもこう呼ばれていたしな。それに堅苦しい変な敬語もなくていい」

「……おう。俺名前教えたっけ?俺は鎖鬼だ。」

「なぁ鎖鬼。頼みがあるんだが」

「なんだ?」

「小生をココにおいてくれないか?湯に入りながら考えたんだが、行く当てがないうえにこの事情を知ってるのはお前さんだけなんだ!!頼む。」

土下座でもしそうな勢いだ。

「……いいですよ?どうせこの家に俺一人だし。」

「いいのか!?」

「いいですよ。どうせこの事情知ってるの俺だけだし。……(つーかこんなこと話して信じてくれるの俺ぐらいしかいねぇだろ、一般人として)金も部屋数の余裕あるし。それにここにいたら戻るための手がかりがつかめるかもな。」

その言葉に機嫌をよくした官兵衛の腹が鳴り出した。

「……朝餉ならできてるぜ。」

「……すまん。」

ちなみに今日の朝飯は大根の味噌汁ともらい物の焼鮭、卵焼きに炊き立ての白米だ。

「鎖鬼、今日は祝い事でもあるのか?」

「祝い事?ねぇよ?普通の朝飯だろ。」

「いや、卵に魚、白米なんて戦の前か祝い事のある日じゃないと食えないもんだぞ。」

「あ、そうだった。(歴史好きの知識が発動)今の世の中これくらい普通の食事だぜ。だから遠慮しないで食え。」

さっそく鎖鬼は座って食べ始める。

官兵衛はそれにならって食べ始める。


『祝い事ねぇ。しいて言うなら……』


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