★婆娑羅の館

□第一不審者発見
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☆お風呂?

トントントントン

鎖鬼はリズム良く大根を刻む。

「そうだ、あの鉄球男起しに行かなくちゃな。」

―和室―

「お〜い。おーーーい。」

よほど疲れていたのかいっこうに起きる気配がない。

「(イラッ)起きろこのごくつぶしがぁぁぁぁぁ!!」

「うぁぁぁぁぁ!!なにごとだ!!」

「いい加減おきたらどうだ?もう8時なんだけど。」

「はちじ?そもそもここはどこなんだ!小生は確か穴倉で……あぁ!!上から落石が!!そうだった。なぜ小生ばかりが!!なぜじゃー!」

「五月蝿ぇ!!」

パンというかバシのような盛大な音を立てながら頭を殴った。ハリセンで。


俺がこの和室に来てはや30分。俺の立てた推測は正しかった

鉄球男さんの名前は黒田官兵衛さん

戦国の世で穴倉生活のもと、落石にてトリップってことだった。

落石でトリップとかどんだけ厨二病なんだ、俺の頭は……

ついでに鉄球のことも話しておいた。

叫びかけたから殴ったけど。

もちろんハリセンで。

「そのままじゃ気持ち悪いでしょう。風呂入りましょう。」

「ふろ?」

「湯浴み?って、いったっけたしか。しかも黒田さん褌一丁ですから……」

「んなっ!!」

鎖鬼は言い終わるとバスタオルを顔面に投げつける。

誰が好き好んで男の裸なんぞ凝視せねばならん……

それからの鎖鬼は早かった。

官兵衛の手を無理やり引っ張りそれについていく官兵衛はもつれながら必死についていく。

「そこに座ってください。」

官兵衛が座ると同時にシャンプーをし始める。

「これはシャンプーって言う髪を洗うものですから。」

ワシワシと官兵衛の頭を洗っていく。

気持ちいいのか時よりうとうとしている。

「洗ったのいつ振りですか?」

「ん〜。水浴びはしていたが、小生が穴倉に幽閉されてからだから湯浴みはほぼしていない。」

「……。」
ガシガシガシガシ(絶対俺は耐えられない……)

「次にコンディショナーですね。これは髪の毛に艶をもたせるというか、丈夫にするものです。」

これもワシワシとしていく。

「体は自分で洗ってください。」

「っ!前は自分でするぞ!!」

「はぁっ?!!(なんで俺が焦ってんだよ!!)」

ゴシゴシゴシゴシ

「痛っ!いたたたた。」

「じゃあ浸かってから出てきてくださいね。」

なんだか調子が狂う……

「そういえば服は浴衣でいいか。」

俺が住んでいるこの建物は叔母からの贈り物で、お金の問題はすべて叔母が払ってくれている。

自分も働いているから少しは出すといっても決して譲らないのだ……

これが金持ちのプライドってやつか。このブルジョワめ!!

でもその叔母には感謝している。

叔母は性格までいい。

親父にも少しは分けてやりたいくらいだ。

しかも、この建物数年前まで小さな旅館をやっていただけあって部屋数なら沢山ある。

風呂も台所も一般よりは広い、前に使っていた浴衣とかもおいていったらしい。

そこには感謝だ。

「黒田さんはこれかな……」

官兵衛さん用に浴衣を出して置く。


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