小説

SC L
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終えた矢先始まる気配



「・・そういえば今のエルフィ、どれくらい強いのか知らないな」


会話が一区切り付いた頃、ヨシュアがはたり、と思いついたように呟いた。
瞬きを繰り返すエルフィに、「あぁ」なんて頷きを見せるエステル。


「そういや会ったばかりだし、どんな戦い方するのかも知らないや。
 A級だし、強い・・・だろうことは言うまでもなく、
 見ただけでなんとなく分かるんだけど・・?」


椅子に座り、脚を組んでいたエルフィを見ながら首を傾げる。

彼女の近くには1本の剣に刃が2本ずつある、
リベールにしては珍しい両刀。 加えて、それと同じ武器が2本と来た。

計4本の刃を扱う、手数が多いだろう戦術。
・・・というところまではなんとなく想像が付く。

エルフィは少し悩むように「ふむ」と一言、手を顎に当てた。
数秒。 手を離した彼女は、口角を上げてニッと笑う。


「・・・戦ってみる?」
「へ」


突拍子も無い提案にエステルから呆けた声が1つ。

彼は数度の瞬きを繰り返して数秒。 ・・・頷いた。


「・・いいよ、挑戦する」
「よし来た」
「え。 ・・・今から!?」


混乱を見せる彼女にクツクツとした笑みを浮かべながら、
エルフィは組んでいた脚を解き、その場から立ち上がる。

机に立てかけていた2本の剣を、腰のベルトに挿す彼女の動作を
エステルは硬直しながら見つめていた。


「どのくらい本気で相手すればいい?」
「全力で構わないよ」
「大きく出たねぇ」
「えっ、えっ?」

「エルフィがどれほど強くなったのかを知りたいんだし・・・
 この後レーヴェとの戦闘が控えてると思ったら、前哨戦になるかなって」
「オッケー。 そんならちゃんと応えないとね」
「え、ちょ」


ヨシュアも椅子から立ち上がり、エルフィの後を追い、
遊撃士協会ボース支部の1階へ向かうべく階段を下りていく。

は、話が止められない。 止めていいかも分かんない。
混乱しきったエステルも、慌てて階段を下りた。

1階に下りてくると待機していた遊撃士の面々が顔を上げた。


「おぉ、戻ったか」
「あら? もう話は終わったの?」
「ごめん、別件ができちゃった」
「別件?」

「しぇ、シェラ姉ぇぇ! この2人止まんないんだけど!!」
「え?」


遅れて階段を下りてきたエステルのヘルプに疑問符を浮かべるシェラザード。

エルフィとヨシュアは然程気に留めず、ギルドから出ていこうとする。


「広いとこ行きたいな。 どっかスペースある?」
「あ、ラヴェンヌの奥にある廃坑は?
 凄く広いし周りの迷惑にもならなくて良いなと思ったんだけど」
「どこでもいいけど・・・そんなとこ、すぐに借りれるもんなの?」

「うーん、村長に直交渉かな」
「そっからかー、まぁいっか。 通るでしょ」
「軽いね」



(え、エステル。 あれは何の話をしてるの?)
(ガチ戦闘できるスペース探してる!!)
(・・・んんー?)
(どうしてそうなった?)





 
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