夢小説2

□名前
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彼女は余程でないとジブンの名前を呼ばないっス。
大抵はでスね、

「ねぇ……え…っと…」

てな感じでして、宙をさまよう手はどう見てもジブンの方向。
仕方ない事とは思うっスよ?
それに、これはジブンにはとても大切な思い出っスから。
言いたくは……

…ちょっとだけ…でスよ?


『犯罪番号2012』
それが公式でのジブンの呼び名だったっス。

『公式?』

ここで頭を振って不思議そうにしたデショ?
それこそ正解っス。

ジブンの呼び名は、他にもあったっスよ。
集団であれば組織名であったり、地位であったり。
個人としてよくジブンが聞いた呼び名は、番号っス。

そう。番号っスよ。

色んな厳しい訓練をして、優等生であればつけられる名前は、
最初こそ羨ましい『対象』で一人前になった『誇り』でしたっスよ。

それが『作戦名』だって知るまでは…っス。

ジブンには名前がないっス。
その方が賢く生きる方法だと言えば…確かにその通りっス。
命だけは…取り返しがつかないっスからね。
でも…
例えその名前が命を晒すものであったとしても、
…羨ましかったっスね。

だってジブンを呼ぶのは…

『26番』

だったんでスよ。
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