双星〜地球と智球〜

□第一章 夢…そして現実へ
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「それってさー、何か特殊なもんなんじゃない?」

 学校の席についた途端やってきた親友の桃代が、手にもったシャーペンをくるくると回しながらぴっと先端を櫻子に向けた。

「特殊…?」

 櫻子は首を傾げ、机に両肘をついて、組んだそれに顎を乗せてうーんと考えた。

「ほらー、予知夢とか、前世夢とかー、逆夢とか、あるじゃん、そういうのじゃないの?」

「そういうのとは…違う気がする…」

「えー?何で?」

「だって…小さい頃の私が何回も出てくるし……。ちゃんと『私』なんだよ?なのに相手はまるでファンタジーの世界の人みたいだし…。
じゃあただの夢でいいじゃんって思うけど、こう10数年もの間何度も見てたらそうも言えないし……」

「うーーーん、じゃあ例えば、櫻子の理想の人物像が出てるとか…?」

「だから子供の頃見た夢なんだってば。そんな年に理想も何もないじゃない?それに…銀髪で目に包帯な格好の人なのに理想も何も……ねぇ?」

 そんなやりとりをしていたら、桃代は遂に策なしとばかりにうーんと腕を組んでしまった。

「櫻子。少し話、そらしていい?あたしたちが住んでいるのは、大宇宙のほんの辺境地の銀河っていう小さな小さな集落の、ちっぽけな惑星の、極小の島なんだよね。うちの部長のいつもの台詞なんだけどさ」

 天文部に入っている桃代からことあるごとに聞かされる部長の口癖。
 それはいつも聞いているわ。と頷きながら、櫻子は桃代を見上げる。

「だからさー、広い宇宙、他に生命があってもおかしくないし、剣と魔法の世界があってもおかしくないんじゃないかなぁ〜って」

「要するに、私は宇宙人と一緒にいる夢を見たってこと?」

「…そうかもーとかちょっと思ったりして。だって夢じゃない?剣と魔法の世界は幼い少女にとって」

「そう…だけど………」

「何?どうしたの?」

 何かが櫻子の頭に引っかかった。
 それが何かはわからない。けれど、もやのようにそれは櫻子の頭を侵食していく。

「……夢を…何度も同じ夢を見てるのは確かだけど…でも…その『内容』は…実際にあったことかもしれない……」
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