双星〜地球と智球〜
□第一章 夢…そして現実へ
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「……おめめが見えないの…?」
しなやかな銀髪を胸まで伸ばし、それを包帯のような帯で結った青年の姿が見えた。
問いかけた幼い少女の前に膝をつき、苦笑を浮かべる。
耳横のそこだけ短く束ねきれなかった銀髪が少女の方へと俯いた青年の顔にさらりとかかる。
顔は少女に向けられていたが、目の部分は少し汚れた包帯で両目とも塞がれていた。
「 」
青年が口を開き、言葉を紡いだ。
その刹那
――ジリリリリ――
目覚まし時計がけたたましく鳴り響き、少女はむくりと身を起こしてアラームを止める。
まだあどけなさが少し残るものの、すでに大人への成長過程にある横顔。
しかし、それは紛れもなく先程の夢に居た少女である。
学校へ行く為に制服を着て一階へ下り、朝食を食べて歯を磨く。
いつもの動作をしながら、少女…もとい櫻子はぼうっと今朝の夢のことを考え、そして呟いていた。
「またあの夢だ……」