双星〜地球と智球〜

□第一章 夢…そして現実へ
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 昼休み前の最後の授業が体育だった為、櫻子達は体育館に備え付けられた更衣室で制服に着替えていた。
 まだ衣替えをしていないので、運動をした後の汗ばんだ肌にカッターシャツやブレザーの質感が重い。昼食前の運動は、空腹の体にも重い。
 櫻子はのろのろと着替えを済ますと、桃代と連れ立って教室への帰路へついた。

「お腹減ったねー」

 桃代が軽く伸びをしながら口を開く。それに頷いて、櫻子も口を開いた。

「ほーんと。この時間割どうにかしてくれないかなぁー。4時間目に体育は地獄〜」

 お腹は減っているのに、疲れた体は思うように動いてくれないようで、いつもよりのろのろと歩きながら愚痴をこぼす。
 桃代もそうだねー。などと言いながら授業の不満などを漏らしていたが、何故だか櫻子より先に先にと歩いていってしまう。

「ちょ、桃代?歩くの速いよ?」

「え?いつもと同じだよ?櫻子が遅いんじゃん?」

 そう言われて、櫻子は怪訝な顔をした。疲れたといっても、困憊するほどではないし、いつもと歩く速度は同じつもりでいた。
 けれど、言われてみればたしかに教室へ戻るだけなのにいつもより時間がかかっている気がする。クラスのほかの女子も、もうほとんど見える場所にいなかった。

「…思ったよりしゃかりきにやりすぎたのかなぁー…」

 何とはなしに呟いてみるが、何だかどんどん足取りは重くなる一方で、それはまるでぬかるみに足を突っ込んだかのような、自分の周りに見えない膜が張られているような、そんな感覚だった。

「……何でこんな歩きにくいの…?」

「櫻子、だいじょーぶー?」

 少し離れた場所から桃代が声をかける。櫻子は小さく頷きながら、先に行ってていいよと桃代に声をかけた。

『……なる…………まえ…』
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