-短歌・31の葉-
□*五つ葉の頁*
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俯いた視線の先の水溜まり いつまで空を見上げているんだ
蜜入りの林檎食べきり今日も無事白雪姫にはなれずに終わる
マグカップ覗き込んだらコーヒーに作り笑いを指摘されそう
フェレットが2匹と猫が1匹と人間2人2年目の秋
同室で手元の灯りが照らしてる範囲がテリトリーと感じる
「大嫌い」呟いてみる直ぐ嘘と見破られるのを期待しながら
今までを振り返っても仕方なくミルクココアに甘える夜長
飼い猫と布団で寝ようと試みる冬場に備え予行演習
君の輪郭一筆で書けるから愛撫のようになぞってもいい?
自分から仕掛けた恋の後始末済ませて逃げる脱兎の如く
走り去る君の足跡見つめてる追わずに1人立ち尽くしてる
気付くのが遅すぎたから今日君が彼方で笑う声も届かず
嘘ばかりついた私に神様がくれたのは嘘しかない自分
小鳥にも鈴にもなれず私には金子みすヾになる術もない
頬染まるその瞬間も恋という魔物の牙は甘く鋭い
着信はないのに僕の心ではバイブレーション機能が作動
前触れもなく歌いだす着信の椎名林檎の声が鋭い
消えかけの飛行機雲と同じで私の夢に輪郭はない
カラフルで丸くて甘いドロップを一度にほおばるそんな恋かも
入れすぎて溶かしきれないコーヒーの砂糖みたいな恋だったのか
会いたいよ・会いたいよ・ただ会いたいよ 口にするほど淋しくなるよ
故郷(ふるさと)の冬を心に閉じ込めて上から何度も重ね着をする