レジェンズ

□サーガの印
2ページ/4ページ

不意に時計台の針がカチリと動き、鐘が鳴った。
見ると時刻は4時。

「あー!!!!!」

シオが大声を上げる。
その声にびっくりしたシロンがびくりと肩を揺らす。

「次のバイトだ!!」

「はぁ?1日にどんだけ働くんだよ、お前」

「色々あんだよ。じゃな」

シオは早口でそう告げると、学校の鞄を掴んで部屋から飛び出した。
が、ふと思い出して、足を止めた。

「また明日な」

にこっとシオは笑って見せると今度こそ、部屋から飛び出した。

「…面白い娘だな」

「なんだよ、いたなら出てこいよ。ワル山ワル夫」

「…シロン、お前も相変わらずだな」

シオが立ち去った後、物陰から一匹のねずみが現れた。
シロンとは対照的に真っ黒な体をしたねずみだ。

「あの娘が新しいサーガか…」

「あぁ、みてぇだな」

「証拠はあるのか?」

「んなもんねぇよ」

シロンはきっぱりとそう言った。
ランシーンと呼ばれた、黒いねずみは呆れた表情でシロンを見上げている。

「ただ…」

「ただ?」

シロンは自身の胸に手を当て、言った。

「前のサーガと似てるんだよ、あいつ」

「先程はハルカに似ていると言っていたぞ」

「かわい子ちゃんにも似てるんだよ」

シロンの言葉にランシーンははぁっとため息をついた。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ