レジェンズ
□現れた敵
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「「ごちそうさまでした」」
シオとランが手を合わせて言った。
テオはそんな二人に「お粗末さまでした」っと嬉しげに返した。
一方の竹智は食べ終わったにも関わらず、何も言わずに胡座をかいている。
―偉そうに…。
「テオ、美味かったぞ」の一言もない。
何様のつもりなんだとシオが食ってかかろうとした、その時。
『離れろ……』
―!?
ぞわっと体が何かに反応する。
「シオ?」
シオの異変に目ざとく、竹智が気付く。
どうやら、他のみんなには聞こえていないようだ。
―もしかして、レジェンズ?
『今すぐ離れろ……』
「##NAME3##…?」
―離れろ?何から?
周りを見渡すがシオ達以外の人間がここにいる訳もない。
「おい、どうしちまったんだよ」
「ちょっとごめん、用事思い出した」
シオは声の正体を突き止めるために、屋上から早足で去った。
去り際に見た竹智の顔がシオを疑いの目で見ていた事は気にしないでおこう。
『あなたがいなければ、私は…』
不意に声が大きくなる。
振り向けば、廊下には一人の女子生徒が立っていた。
―なんだ?あの黒いモヤみたいなのは…。
女子生徒の胸元辺りからは黒いモヤのようなものが出ていた。
「あなたがいなかったらっ!!!!」
悲鳴にも似た、女子生徒の叫びに体がびくりと震える。
正確には女子生徒の叫びにではなく、その黒いモヤにたいしてだ。
―あのモヤ、ヤバイ気がする。
「神威 シオっ!!!!!!」
女子生徒の叫びと共に黒いモヤがシオ目掛けて飛んできた。
「っ!?」
咄嗟に床を蹴り、シオは後退する。
べっとりと床に張り付いた、黒いモヤはのそのそと動き、やがて動物のような姿に変わっていった。
「行けっ!!ジャバウォック!!!」
―ジャバウォック?
ジャバウォックと呼ばれた生き物は女子生徒の指示でシオに襲いかかる。
「ちっ…」
シオはジャバウォックの攻撃をかわしながら、逃げ道を探した。
廊下でやり合うのは不利だ。
「しゃーねぇ!」
シオは近くにあった窓の鍵を素早く開けると、窓から外に飛び降りた。
二階だったのが幸いでなんなく着地すると、校内から出るためには校門に向かって走り出した。