レジェンズ
□サーガの日常
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キンコンカンコンっとチャイムが鳴り終えるのと同時にシオが教室に滑り込む。
―セーフか。
「神威、ギリギリだな」
教卓に立っていた先生がシオを見て言った。
シオはすいませんとペコっと頭を下げて、自分の席に着いた。
「シオちゃん、おはよ…」
隣の席のマスクの少女・ランが小声で挨拶する。
「ラン、おはよ」
「珍しいね…、シオちゃんがギリギリって…」
「まぁ、色々あってね」
カバンから教科書を出しながら、シオが答える。
「……シャンプー、変えた?」
「へ?あぁ、ちょっとな」
―すごい嗅覚だな。
ワニのダンディが使っているシャンプーを使うのは少しばかり抵抗があったが、背に腹は変えられず、思いきって使ってみたが、意外にもいい匂いがする。
―つか、なんでシャンプーあったんだろ。
「あ…、そういえば、朝に男鹿君が来てたよ…」
「竹智が?」
男鹿 竹智、その名前にシオはあからさまに嫌そうな顔をした。
「また嫌味言いに来たんだろ」
「…シオちゃん来てないの、気にしてた」
「からかう相手いないと退屈すぎて死ぬんだろ、あいつは」
竹智とはシオの幼馴染でシオが絶対に敵わないライバルでもある。
スポーツでも、テストでも、何に置いてもシオは竹智に勝てないでいた。
故にシオは竹智を毛嫌いしていた。
「昼休み、屋上行くの止めるかな…。あ〜…、でもテオの昼ご飯食べたい…」
「テオくん、料理上手だもんね」
「竹智の舎弟なんか止めればいいのに、あいつ…」
テオとは竹智と同じクラスでシオ、ラン、竹智の昼ご飯を作っている男子だ。
いかつい見た目で怖がっている人もいるが、意外にも料理が得意で心優しいやつだ。
「早く昼になんねぇかなぁ…」
「気が速いよ」
「神威、この問題解いてみろ」
先生に指名され、シオは「はーい」っと席を立った。