レジェンズ
□巡り巡って
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「久しぶりだな、ここに来るのは」
『ワニの穴』での飲み会を終え、今後について話すためにシオ、シロン、グリードーはあの時計台の屋上にやって来ていた。
「着いたぞ、風のサーガ」
もちろん、空移動だ。
―空移動、慣れないとな…。
シロンの手で屋上に降ろされたシオはつくづくそう思うのだった。
「つか、グリードーもここにいたのか?」
「ここはディーノ達の秘密基地だったからな」
―前のサーガの秘密基地…。
「それで写真とかがあったのか」
ぶわっと吹き付ける風を全身に受けながら、シオが言った。
「なぁ、シロン」
「何だよ、風のサーガ」
「お前も会いたいか?前のサーガに」
前のサーガ。
写真から察するに小学生くらいの子供達だったんだろう。
前のサーガ達の代から何年経ったかは分からないが、秘密基地に立ち入ってない形跡から、長い間ここには来ていないというのが分かる。
つまり、ここで待っていても会える確率はかなり低いという事だ。
「別に俺は会いたいとは思わないね」
いつもの声のトーンでシロンが返す。
「俺はずっとあいつと一緒にいたからな」
「え?」
「そうか、お前は………」
シロンの言葉にグリードーは納得したように声を上げた。
―ずっとあいつと一緒に?
「それってどういう……」
シオが口を開いた、その瞬間。
タタタっと誰かが駆け上がってくる足音が聞こえた。
一人ではなく、複数人の足音だ。
―ヤバっ…!
シオはシロンとグリードーをどうにか隠そうと辺りを見渡すが、平坦な屋上にドラゴン2匹が隠れられる場所などある訳もない。
「おーい、ねずっちょ!!いるんだろー!!出てこいよ」
―アレ、この声、どっかで……。
「なんで僕までっ!!!」
「っ!!!!」
グリードーが秘密基地から屋上に出るためのドアに目をやる。
足音が徐々にドアに近づく。
「やっときたか」
シロンは待ちくたびれたと言わんばかりの短いため息をついた。
「むっ!ここかぁー!!!!」
大声と共に勢いよく、ドアが開いた。