レジェンズ
□サーガの印
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店の中に入ると、そこにはカウンター席のみがあった。
カウンターの奥の棚にはたくさんのボトルが並んでいて、独特の匂いを放っている。
―バーなのか、ここ。
レジェンズが経営している店なのだから、店に来る客は当然レジェンズだろう。
―レジェンズって酒飲んでいいのか…。
シオが店の中を目で見渡していると、ダンディが店の奥に手招きをした。
狭い店内の奥を行くと、そこにはシャワールームがあった。
―肌、乾くからか。
「ドライヤー貸してくれれば、後は勝手にやるよ」
「ドライヤーな。えっと……あいよ」
ダンディはシオにドライヤーを手渡すと脱衣所から出て行った。
シオは濡れた制服を脱ぐとドライヤーで乾かし始めた。
「中々乾かねぇな…」
―先にシャワー借りた方がいいか。
寒気のしだした体を手で擦りながら、シャワールームに入ろうとした時、脱衣所にあった鏡に目がいった。
「ん?」
―背中になんかついてる?
鏡に背中を向け、シオは顔を鏡の方にやった。
すると、背中には小さな痣のようなものが出来ていた。
「翼?」
痣は翼のような形をしていた。
「もしかして、これがサーガの印?」
翼と聞いて、すぐに思いついたのはシロンだった。
「じゃあ、他のサーガにも印があるんじゃ…」
シオは痣を眺めつつ、シロンの事を思うのだった。