main(´・ω・`)
□遠くへ
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「ご主人、スマホも持たずにどちらへ行かれるんですか〜?」
「散歩だ。」
「ご主人が・・散歩!?」
「すぐ戻ってくる。待ってろ」
今日は行かなければいけない
今日こそは行かなければならない
外に出るのは本望じゃないが・・
「アヤノ、お待たせ。この声届いてんのか?」
小さな花が自分の周囲に見える
そして小さな墓が自分の前に見える
「遅かったね。待ちくたびれちゃったよ。」
目を瞑るとアヤノの声が聞こえる
優しい、声だ
「怒るなよ。こうしてまた会いに来たんだから」
爽やかな風がふく
いま自分は昔のように笑えているのだろうか
微笑んで君に言葉を伝えれているのだろうか
「ありがとう。」
アヤノから、そう聞こえた気がした
俺はきっと微笑んでいる
だって
君がいるのだから。
「また、会いに来るから」
そうして舞い上がる花びらと
無情に流れ過ごす風をあとにした