てきすと2
□嘘ついて
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「俺、孕んだかも。」
唐突に告げられたそれに、土方は食べていたマヨ丼を吹き出しそうになった。
「いやぁー、最近ね。つわりっつーの?酷くてさー。神楽とか勝手に名前つけてんだぜ?」
「....」
「俺は、名前以前にパパになることのほうが心配だわ。」
おれが、産むからママか。
とか呟きながら、彼は机の上の甘味にてを伸ばした。
「十四郎?」
「いや、な、な、なんでもねーよ?」
さも普通に話してくる彼に、土方は戸惑いを隠せない。
そんな戸惑いを感じ取ったのか、彼は申し訳なさそうに頭を掻いた。
「いや、急に孕んだとか、困るよな。ごめん...」
「エッ、いやそんなんじゃ...」
「大丈夫!!お前が育てる気なくても、俺がちゃんと...」
「そうじゃねーよ!!」
思わず怒鳴りかけられて、彼はビクリと肩を揺らす。
少なからず申し訳なく思ったのだけれど、関係なく肩を掴んだ。
「一人で育てるなんざ、許さねぇぞこのクソ天パ!そりゃあ、確かにビックリしたけど、俺らの子なんか喜ぶに決まってんだろ!!」
「........フッ」
「な、んだよ」
「ぶっは!あっはっはっはっ!!ヒー!大串くん!今日なんの日か知ってる?」
「ああ"っ!?」
カレンダーを見ると、今日は
「エイプリルフールか?」
「そうそう」
こめかみの血管が、ブチ切れそうになった。
だが、
「嬉しかったぜ」
「何がだよ」
「あんな必死になって考えてくれんのなお前。」
頭に手が置かれる。
そのままわしゃわしゃとかき回された。
くすぐったい
「ありがと」
「...どういたしまして?」
嘘をつかれたのは腹立つけれど、
こんな風に笑われたら、すごく、たまらなく
こいつのことを好きだと感じる。