てきすと
□気紛れな
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「晋助ー。どうしたがじゃ」
「なんでもねーよ」
「おんしが凭れてくるなんて、めずらしいろー?」
「俺が甘えたらいけねーの?」
いや、そういう問題なのではなくて、彼は本当に気紛れだ。
いつもはすまして、こちらのことなど殆ど見向きもしないくせに。
(ただし愛しているを伝えれば話は別で、彼もそれに答えようとしてくれる)
それが愛しくて堪らない。
大好きで堪らないのだ。
「あー、お前の気紛れには参るな」
「わしよりおんしのほうが気紛れじゃあ」
「いや。お前は俺より気紛れだ」
そうだろうか?
すり、と頭を擦り付ける彼にもう愛しさしか感じない。
頭を撫で付け、その少しかさついた、柔らかな唇に自らの唇を重ねる。
「たつま、」
「好いちゅうよ?」
どきり、鼓動が跳ねた。
その碧眼に引きこまれる、流されてしまう、
嗚呼、その気紛れに口付けるのも愛を囁いてくれるのも、
すごく嬉しいもので、すごく質が悪い。
だからお前の気紛れは参るのだ。
こんなにも心乱されるなんて、どうかしている。