てきすと2
□煙
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「ねえねぇ、土方くん。」
「あ?」
いつものように銀時が、いつものようにのんびりした声で、いつものように指摘する。
びしりと伸びた指先にあるのは、俺の口にくわえられた煙草。
「神楽達が俺の匂いかいでけむいっていうからやめてくんないそれ」
フゥッと息を吐く。
白い糸のような紫煙が、空気の流れにそうように消えていった。
「だめか」
「うーん、俺も嫌だし?」
「お前にマーキングしてるっつってもか」
「幕府のワンコさんはそんなに独占欲強かったっけ?」
うーん。
まぁマーキングというのも本当のところだが、単にストレスが溜まっていた。
ここのところ仕事続きで、足腰が鈍っているついでに煙草もいい具合に仕事中になくなり、これも久々の喫煙なのだが。
やはり、きゅっと眉を潜めた表情をみるとちょっとけむかったか。
「口さみしいんだよな」
「飴玉食ったら?」
お前は甘党だからいいかもしれねぇが、あいにく俺は甘いのは苦手だ。
銀時とファミレスに行った時にときたま、ほんとに稀にパフェをあーんしてくれるのだが、それは別として。
「じゃあさ、」
「うん?」
「銀さんが、土方くんが口さみしいときに、ちゅーしてあげるよ」
危うく煙草を落としそうになった。
「それでいいでしょ?」
してやったり、とにこりと笑い、ふわりと揺れた銀髪に。参ったなどとおもいながら、煙草を灰皿に押し付けた。